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2009年7月8日のブックマーク (2件)

  •  斎藤環『関係の化学としての文学』読了 - 西東京日記 IN はてな

    斎藤環、3冊目の文藝批評。1冊目の『文学の徴候』が作家論、2冊目の『文学の断層』が時評的な者だったのに対し、これは「表現論」だとあとがきに書いてありますが、読み終えた感想としては「表現論」と同時に「女性論」であったような気がします。 「関係性」を描くことこそ文学の特徴である、この切り口をもとに桐野夏生、鹿島田真希、マルグリッド・デュラス、金原ひとみ、桜庭一樹、谷崎潤一郎、川上美映子、中上健次の作品を俎上に載せて分析していくわけですが、一見してわかるように女性作家が多いです。 斎藤環は「やおい」などの分析を通して、男性の欲望が「所有」に向かうのに対して女性の欲望は「関係性」へ向かうと言いました。また、『母は娘の人生を支配する』では母親と娘の関係について1次のような知見を示しました。 母親の価値規範の影響は、父親のそれに比べると、ずっと直接的なものです。母親は娘にさまざまな形で「こうあってほし

     斎藤環『関係の化学としての文学』読了 - 西東京日記 IN はてな
  •  斎藤環『文学の断層』読了 - 西東京日記 IN はてな

    相変わらず斎藤環のはチェックしていて、しかも毎回誉めているんで、なんだか斎藤環の回し者みたいな感じではあるけど、今回も次の部分には思わず唸った。 いまやわれわれは「理解とコミュニケーション」の可能性と「変化と成長」の可能性とのいずれかを、相互排除的に選択し続けるほかないのかもしれない。もはやそれらは両立しない。コミュニケーションは変化をさまたげ、理解は成長を阻害するからだ。(190p) これは今の社会の現状を非常に鋭く捉えた言葉だし、「真理」だと思う。 精神科医のアルフレッド・ビオンが患者と接する時の態度を示した名言に「感情なく、記憶なく、理解なく」というのがあって、僕は今までその「理解なく」というのを「相手をわかったつもりにならない」という単純な意味で理解していたけど、その真意は斎藤環の言う理解と成長の相互排除性にあるのかもしれない。 いきなり、熱く語ってしまいましたが、このは『文学

     斎藤環『文学の断層』読了 - 西東京日記 IN はてな