律儀に読み続けている「プラチナ・ファンタジイ」シリーズの第4弾、イアン・R・マクラウド『夏の涯ての島』を読了。帯に「叙情SF短編の名手」とあって、確かにそんな感じなのですが少し書き過ぎの感があるかな? 著者のイアン・R・マクラウドは1956年生まれのイギリス人の作家で、解説では「同世代ではイーガンと肩を並べる存在」などという紹介も書かれていますが、SF的なディティールの構想力ではイーガンにははるかに及ばないです。この本の収録作の「わが家のサッカーボール」、「ドレイク方程式に新しい光を」では、さまざまな姿に変身する人間や翼をはやして飛ぶ人間というものがSF的なものとして描かれているのですが、イーガンが構想するリアルで緻密な近未来と比べるとやや興ざめな感がします。 一方、「チョップ・ガール」や「夏の涯ての島」といった歴史もの、あるいは歴史改変ものはそういった無理がないこともあって読み応えがあり