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ブックマーク / bookweb.kinokuniya.jp (6)

  • アメリカン・カルチャーの光と影 「紀伊國屋カルチャー・トリップ」第2期第2弾 : 紀伊國屋書店新宿本店

    アメリカ文化はお好きですか? それともお嫌いでしょうか? どちらにせよ、私たちにとっての「海外文化」は、実はその大半がアメリカのものではないでしょうか。例えばイギリスやフランスの文化もたくさん入って来てはいるのでしょうが、その全体的な量や影響力においてアメリカを上回ることは無いでしょう。 もともと、私たちの戦後の生活と文化アメリカを追いかけることによって始まったようです。第二次大戦で勝利したアメリカは名実共に世界一の大国となり、1950年代に完成されたというそのライフスタイルは、人類にとって最も完璧な生活として、世界中の憧れを集めました。私たち日人も、眩いアメリカ文化に魅せられ、アメリカの生活を目指しました。 しかし、そこにあったのは決して素晴らしいものだけでは無かったということは、おそらく皆様もご存知の通りかと思います。例えば小説家のジェイムズ・エルロイは、40年代から50年代に

  • 不思議の国のアリスと不条理の文学 「紀伊國屋カルチャー・トリップ」第1期第4弾 : 紀伊國屋書店新宿本店

    このフェアのタイトルにピンと来るような方であれば、ルイス・キャロルによる名作「不思議の国のアリス」と「鏡の国のアリス」が、ただの子供向けの童話や楽しいだけのファンタジーではないということは先刻ご承知のことと思います。ひとたび「アリス」の世界を覗き込めば、そこにはありとあらゆる「不条理」が、可愛らしい外見の下で現実世界を転覆しようと暴れまわっているのです。そこでは時間も空間もひっくり返り、言葉はその意味から離れて一人歩きを始め、異形の人々はてんで道理の通らぬ話をえんえんと喋り続けるでしょう。 「不条理」とは、条理に合わない全てのこと、「道理」や「理性」や「正気」といった、社会生活を営む上で欠かせないあらゆるコトワリに反する概念のことです。それを野放しにしてはこの社会は成り立ちませんが、しかし人間は条理のみに生きるのではありません。我々の中には、全ての道理を無視する荒々しい「不条理」が、子供

  • フィメール・アーティストの冒険 「紀伊國屋カルチャー・トリップ」第1期第2弾 : 紀伊國屋書店新宿本店

    今でこそ、どんなジャンルにおいても女性の作家は珍しくはありませんが、女性作家・女性芸術家が社会において認められるようになったのは、そう遠い昔のことではありません。かつては女性が「作家」となることは認められず、能力はあってもそれを活かすことができない女性が多く存在しました。現在の状況は、そんな社会の中で、先駆的な女性たちが道なき道を切り開いて来たことによってもたらされたのでしょう。 各界でのパイオニアとなった女性達は、男性中心の社会に対して猛々しく戦いを挑み、現在の評価を勝ち取って来たのだと思います。その表現はそれまでの「女らしさ」を逸脱し、新しい生き方を示すものでもありました。そして現代の女性たちは、先人たちの築いた土壌の上で、もう少し軽やかに自分たちの世界を表現しているように思えます。 とはいえ、今回のフェアを企画する過程で、文学と漫画以外のジャンルにおいては、女性作家・女性芸術家の

    inmymemory
    inmymemory 2010/11/28
    マルスリーヌ・デボルド=ヴァルモールが入っていないとは…。ヴァルモール夫人がいなければ、ボードレールも象徴詩の隆盛も現代詩もなかったというのに。
  •  「ゴシック」の源流を探る 「紀伊國屋カルチャー・トリップ」第1期第1弾 : 紀伊國屋書店新宿本店

    「ゴシック」あるいは「ゴス」と呼ばれる美意識は、近年ますますその存在感を増しているように思えます。ファッション音楽映画漫画、文学など、様々なジャンルにおいてゴシックの意匠や美学が意識され、表現されているのを頻繁に目にします。 ゴシックという概念について遡ると、そのルーツは中世ヨーロッパにありました。 中世の、奇怪な装飾を施された教会建築や、まだ洗練されていないキリスト教美術に対して、ルネサンス期の人々が野蛮なものという意味で「ゴシック(ゴート族の)」と呼んだそうです。 そのようにして否定されたゴシックが再び見出されるのが18世紀から19世紀にかけてのゴシック・リヴァイヴァルであり、その後ヨーロッパやアメリカの美意識の中で連綿と受け継がれたゴシックの美学は、20世紀には大衆小説映画、そしてロックやファッションといったポップカルチャーの中で大きな力をふるうことになるのです。 このよ

  • 耽美とデカダンスの100年 「紀伊國屋カルチャー・トリップ」第2期第弾 : 紀伊國屋書店新宿本店

    「耽美」「デカダンス」という言葉から、あなたは何を連想するでしょうか? 様々な使われ方をする言葉ですから、そのニュアンスは人によって大きく違うかもしれません。しかし、そこにはある程度の共通したイメージもあるのではないかと思います。今回はそんなイメージについて考えながらフェアを企画しましたが、さて、「耽美」とは、「デカダンス」とは一体何なのか? 「耽美」とは文字通り「美に耽る」という意味ですが、一般的には19世紀後半のヨーロッパで起こった「耽美主義」のことを指します。耽美主義とは美を最上の価値として追求する芸術運動で、それは当時の社会において主流であった合理主義や進歩主義の価値観に対する反逆の姿勢でもありました。理に適った考えや何かの役に立つことに背を向け、ただひたすら美しさだけを目指すという態度が「耽美」と呼ばれたのです。 そして、耽美主義者たちのそのような傾向は、しばしば揶揄の意味

    inmymemory
    inmymemory 2010/10/15
    今年最大の失敗はこのフェアに行きそびれたこと。今年最大の幸運はこのフェアのラインナップが今もこうして閲覧できること。 @KinoShinjuku
  • 今読みたいSF100 2000年以降に刊行・復刊・文庫化されたSF/SF的小説100作 「紀伊國屋カルチャー・トリップ」第2期第3弾 : 紀伊國屋書店新宿本店

    SFという言葉が何を指すかと言えば、通常は「サイエンス・フィクション」の略ということになっております。しかし実は他にもいろいろな解釈があって、例えば1960年代には従来のSFの意味を拡張した「スペキュレイティブ・フィクション(思弁小説)」という言葉が提唱されたり、近年では「ストレンジ・フィクション」と解釈する動きがあったり、はたまたここ日では藤子不二雄による「すこし・ふしぎ」という珍しい解題もあったりします。SFというものが、長い歴史の中で多様なスタイルや内容を呑み込んで来たことの現れと言えるでしょう。 企画者が「最近なんだかSFが盛り上がっている気がするな」と感じたのは、国書刊行会からの「未来の文学」シリーズと、河出書房新社からの「奇想コレクション」シリーズが話題になり始めた2000年代中頃だったかと思います。単行形式での、今までのSF小説のイメージとは少し違った装丁に包まれたこれら

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