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ブックマーク / caorenqi.hatenablog.com (75)

  • 作家別リスト(生年順) - 書物を積む者はやがて人生を積むだろう

    (!)はおすすめ作品、(☆)はいちおし作品、(漢)は中国語で読んだ作品を示す。 エウリピデス(ギリシア、前480頃〜前406頃) タウリケのイピゲネイア オウィディウス(ローマ、前43〜17) 恋愛指南 アブー・ヌワース(イラン、757?〜814?) アラブ飲酒詩選 紫式部(日、11世紀) 源氏物語 ショタ・ルスタヴェリ(グルジア、12世紀) 虎皮の騎士 ゲッツ・フォン・ベルリヒンゲン(ドイツ、1480〜1562) 鉄腕ゲッツ行状記 トルクァート・タッソ(イタリア、1544〜1595) エルサレム解放(!) ロペ・デ・ベーガ(スペイン、1562〜1635) フエンテ・オベフーナ ウィリアム・シェイクスピア(イギリス、1564〜1616) トロイラスとクレシダ じゃじゃ馬ならし 間違いの喜劇 リチャード二世 テンペスト(☆) 恋の骨折り損 ヴェローナの二紳士 終わりよければすべてよし 尺に

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  • アンリ・グゴー『大脱出』 - 書物を積む者はやがて人生を積むだろう

    前情報なしのタイトル買い、というか、「グゴーって名前はなんかユゴーに似てるな〜」といういい加減な理由で買ったこの、大当たり。ブラヴォー、俺様の勘。 大脱出 (1982年) (白水社世界の文学) 作者: アンリ・グゴー,榊原晃三出版社/メーカー: 白水社発売日: 1982/02メディア: ? クリック: 3回この商品を含むブログ (1件) を見る おまえは人のいいサンタクロースだ。ところが不幸なことに、おれたちは子供じゃない。(103ページ) 主人公ベールは罪を犯して牢獄に入る。彼が入ったとき同じ監房のフラップらは脱走を計画していた。一方、他の監房には、脱獄を願わず、牢獄の中での快適な生活を求めるグループもいて、フラップたちと鋭く対立する。ベールはフラップに囚人たちのボス・ラヴォワールを大人しくさせるよう求められ、ラヴォワールに自分と自分の兄たちの奇怪な身の上話を語って聞かせる――。 フラ

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  • アナトール・フランス『ペンギンの島』 - 書物を積む者はやがて人生を積むだろう

    アナトール・フランスはいいよ〜すごいよ〜みんな彼のことを軽んじすぎだよ〜。 まあね、近現代フランス文学史を見るとき、どうしてもダダとかシュルレアリスムとかヌーボーロマンとかの派手なところに目が行っちゃうのは仕方ないんだけどさ。でも「現代に相応しいもの」を読むとなれば、ブルトンとかビュトールの作品以上に、この『ペンギンの島』が外せないと思うな。このにこめられた皮肉は、そのまんま現代にも当てはまるところが多いから。 新集 世界の文学(23)アナトール・フランス ブールジェ 中央公論社 1970/3 (amazonに登録なし?) おまえは無邪気さと善意のみしか持ち合わせなかったのに、おまえは自分が崇高だと思っていた。(183ページ) 高齢の修道士マエールは、漂流の果てにたどり着いた土地で、人々にキリスト教を説き洗礼を施す。しかし、視力の衰えたマエールに人間と見えたのは、実はペンギンの群れであっ

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  • ローラント・シンメルプフェニヒ『前と後』 - 書物を積む者はやがて人生を積むだろう

    ドイツ現代劇・四冊目。 ありふれた日常を描いているのに、なぜか漂う奇妙な空気。うむうむ、この長い名前の劇作家、要注目ですぜ。多作多彩の作家ということだし、今後も翻訳が続いて欲しいもの。 前と後 (ドイツ現代戯曲選30) 作者: ローラントシンメルプフェニヒ,Roland Schimmelpfennig,大塚直出版社/メーカー: 論創社発売日: 2006/07/01メディア: 単行購入: 1人 クリック: 30回この商品を含むブログ (5件) を見る 人生で一番大切なのはね、ユーモアなのよ。そしてね、自分自身を笑えない人には、ユーモアがないんだよ。(78ページ) 戯曲。51の短い場面からなり、総勢39名もの人物(中には人間でないものもいるが……)が登場して独白や会話を繰り広げる。 短い場面のひとつひとつは、訳者解説にあるとおり、どこかで聞いたようなチープなエピソードからなっているが、個別的

  • コードウェイナー・スミス『第81Q戦争』 - 書物を積む者はやがて人生を積むだろう

    SF短篇集積読消化プロジェクト、第一弾。これでコードウェイナー・スミスの翻訳は全て読了したことになる。 第81Q戦争―人類補完機構 (ハヤカワ文庫SF) 作者: コードウェイナースミス,Cordwainer Smith,伊藤典夫出版社/メーカー: 早川書房発売日: 1997/02/01メディア: 文庫購入: 7人 クリック: 239回この商品を含むブログ (39件) を見る レアードは目をとじたまま星空の観察にはいった。(「マーク・エルフ」、31ページ) <人類補完機構>シリーズの短篇9編と、シリーズ外の短篇5編を収めた短篇集。 「マーク・エルフ」「昼下がりの女王」の二篇には、各作品中に大きな存在感を示し、シリーズの名前にもなっている「人類補完機構」が成立する過程が色彩豊かに描かれている。この二篇を読めただけでもファンとしては大満足だ。それ以外の<補完機構>ものの作品も、例のごとくおおら

    コードウェイナー・スミス『第81Q戦争』 - 書物を積む者はやがて人生を積むだろう
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    inmymemory 2009/04/21
    スミスをはじめて読むなら、やはりベスト版短篇集『鼠と竜のゲーム』か長篇『ノーストリリア』がお薦め
  • イアン・ワトスン『スロー・バード』 - 書物を積む者はやがて人生を積むだろう

    SF短篇集積読消化プロジェクト、第二弾。『ヨナ・キット』でとっつきにくいイメージを受けたワトスンだけど、この短篇集は楽しめた。いちおし。 スロー・バード (ハヤカワ文庫SF) 作者: イアンワトスン,Ian Watson,大森望出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2007/06/01メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 21回この商品を含むブログ (29件) を見る わからないの? それは、あなたの魂よ。あなたは、自分の魂をなくしたんだわ。(「我が魂は金魚鉢の中を泳ぎ」26ページ) 日オリジナル編集によるワトスンの短篇集。全14編を収める。 おおらかな語りでばかばかしい出来事を描いた作品から、ファーストコンタクトもの、こちこちのハードSFまで、多様な作品を集めたで、ワトスンの多彩な才能を窺い知れる。編集した大森望ら訳者の選択眼も大したものだ。 私としては、やはり、あんまり硬質なS

    イアン・ワトスン『スロー・バード』 - 書物を積む者はやがて人生を積むだろう
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    inmymemory 2009/04/21
    ある人曰く、「ワトスン、ベイリー、ラッカーは三大バカSF作家、その頂点に最高のSF作家ラファティが君臨する」
  • アルフレッド・ベスター『ゴーレム100』 - 書物を積む者はやがて人生を積むだろう

    『虎よ、虎よ』がSF屈指の名作に数えられる理由はわからなかったんだけど、この『ゴーレム100』の凄さはわかった。くだらないパルプだと切り捨てる人がいても驚かないけどね。 ゴーレム 100 (未来の文学) 作者: アルフレッドベスター,Alfred Bester,渡辺佐智江出版社/メーカー: 国書刊行会発売日: 2007/06/01メディア: 単行購入: 4人 クリック: 58回この商品を含むブログ (140件) を見る 「ぼくらが置かれている環境は激烈に変化している」とロイツが続ける。「その一つが、視覚と聴覚で耐えられないほど感覚を打ち壊されること。だからRx精神病院には大勢の狂人がいるんだ。とんでもない現実を拒絶した無数の人たち」じっと考える。「そいつらが正気で、それに耐えているぼくらが狂ってるのかもしれない」(313ページ) 舞台は22世紀の巨大スラム街<ガフ>。この街に住む有閑階級

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  • オノレ・ド・バルザック『ウジェニー・グランデ』 - 書物を積む者はやがて人生を積むだろう

    うかうかしているうちに「バルザック幻想・怪奇小説選集」の『呪われた子』も刊行されてしまった(お金がないのでまだ購入していないが)。積読の『従兄ポンス』『「絶対」の探求』『ユルシュール・ミルエ』をできるだけ早く消化して、後ろめたさなく『呪われた子』を買えるようにしたい。 純愛―ウジェニー・グランデ (角川文庫) 作者: バルザック,竹村猛出版社/メーカー: 角川書店発売日: 1957/10メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 8回この商品を含むブログ (5件) を見る なんにでも、よく気をつけるようにな。(242ページ) ソーミュールのグランデ老人は樽屋から身を起こし、葡萄畑の経営などで成功して一代で巨財を得る。しかしたいへんな守銭奴で、、娘、下女ナノンの三人とともに倹約して暮らしている。土地の名士クリュショとデ・グラッサンはその財産を狙い、グランデの娘ウジェニーに子弟を婿入りさせよう

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  • マイクル・ムアコック『永遠の戦士エレコーゼ』全2巻 - 書物を積む者はやがて人生を積むだろう

    『エレコーゼ』も面白いけど、最初は『エルリック』から入ったほうがいいと思う。 黒曜石のなかの不死鳥―永遠の戦士エレコーゼ〈1〉 (ハヤカワ文庫SF) 作者: マイクルムアコック,Michael Moorcock,井辻朱美出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2007/05/01メディア: 文庫 クリック: 7回この商品を含むブログ (22件) を見る剣のなかの竜―永遠の戦士エレコーゼ〈2〉 (ハヤカワ文庫SF) 作者: マイクルムアコック,Michael Moorcock,井辻朱美出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2007/07メディア: 文庫 クリック: 7回この商品を含むブログ (21件) を見る わたしはまったくかれらの心の産物かもしれないと思う。人類の意志が生み出したものというのだろうか。下手なからくりじかけの主人公かもしれない。わたしはただそれだけのもので、この仕事がすめば、

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  • ジュール・ヴェルヌ『海底二万里』全2巻 - 書物を積む者はやがて人生を積むだろう

    最近読んだ翻訳小説のうちではかなり読みやすい部類。ガスカールなんかに比べると倍近い速度で読めてしまった。読みやすいっていいよね。 海底二万里〈上〉 (岩波文庫) 作者: ジュールヴェルヌ,朝比奈美知子出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2007/08/17メディア: 文庫 クリック: 9回この商品を含むブログ (12件) を見る海底二万里〈下〉 (岩波文庫) 作者: ジュールヴェルヌ,朝比奈美知子出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2007/09/14メディア: 文庫 クリック: 3回この商品を含むブログ (8件) を見る 「いまだかつて何人が深淵の深さをはかり知れただろう?」という問いかけに対して、今答えることのできる人間が全人類のなかに二人いる。その二人、それはネモ船長とわたしである。(結句。下巻465ページ) 世界各地でにわかに目撃されるようになった巨大クジラ。このクジラを殺すた

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  • アレクセイ・トルストイ『ドン・ジュアン』 - 書物を積む者はやがて人生を積むだろう

    このあいだ古屋でたくさん戯曲を買い込んだので、日よりしばらく戯曲祭りを開催。つんである戯曲作品もついでにいくつか消化しておこう。 まずは三人のトルストイのうち個人的にお気に入りのA.K.トルストイ。ちなみにA.N.トルストイは未読。L.N.トルストイは高校時代に『戦争と平和』を読んで以来敬遠中。 ドン・ジュアン (岩波文庫) 作者: A.K.トルストイ,柴田治三郎出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1951/12/10メディア: 文庫 クリック: 2回この商品を含むブログ (1件) を見る そうだ、そう決めた。立て、ドン・ジュアン! 進め、破壊の天使として!(66ページ) 詩劇。地上において永遠なるものを求めるよう、悪魔によって宿命づけられたドン・ジュアンは、女性への情熱と幻滅を繰り返したのち、ドンナ・アンナに恋する。結婚寸前までこの話はすすむが、ドン・ジュアンは彼女に幻滅するのを恐

    アレクセイ・トルストイ『ドン・ジュアン』 - 書物を積む者はやがて人生を積むだろう
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    inmymemory 2009/04/21
    デュマとかユゴーといった作家が好きな人には、A.K.トルストイも合うと思う。比較的手に入りやすいのは本作と『白銀公爵』である。両作品を強く推しておく
  • ジュール・シュペルヴィエル『海に住む少女』 - 書物を積む者はやがて人生を積むだろう

    これを出したのは光文社古典新訳文庫屈指のファインプレーだと思う。翻訳があふれかえってる『カラマ』や『赤と黒』より、こういうのこそを出して欲しいねえ。 海に住む少女 (光文社古典新訳文庫) 作者: シュペルヴィエル,永田千奈出版社/メーカー: 光文社発売日: 2006/10/12メディア: 文庫購入: 4人 クリック: 38回この商品を含むブログ (82件) を見る 沈黙さえ自分の思い通りにならないなんて!(108ページ) 十篇の短篇小説を収める作品集。個々の作品の分量は少なめで、短いものは三ページ、長くとも二十ページ強くらい。 ですます調の翻訳のためか、うわべは童話のような雰囲気だが、幻想描写は意外と濃く、かなり奇怪な場面も見受けられる。シュペルヴィエルをシュルレアリズムの傍流に位置付ける評を見たことがあるが、なるほど納得である(たとえば「ノアの箱舟」には、宿題のインクが乾かないことに絶望

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    inmymemory 2009/04/21
    空虚さが最後に幸せな結末にかわる「空のふたり」、不気味な始まりから滑稽に展開し、ついに恐怖の終わりを迎える「競馬の続き」、聖書神話をユーモラスに描いた「ノアの箱舟」の三篇がお気に入り
  • ハイナー・ミュラー『指令』 - 書物を積む者はやがて人生を積むだろう

    というわけで早速読んだミュラーはドイツ現代劇の16冊目。 指令 (ドイツ現代戯曲選30) 作者: ハイナーミュラー,Heiner M¨uller,谷川道子出版社/メーカー: 論創社発売日: 2006/07/01メディア: 単行 クリック: 5回この商品を含むブログ (1件) を見る 僕はもうこんなことはわかりたくない。何千年もの間、我々の恋人である三人は笑い物にされてきた。街角という街角でこづき回され、あらゆる溝のなかを転げまわり、世界中で汚辱にまみれ、あらゆる娼館を転々としながら。僕らの娼婦・自由と、僕らの娼婦・平等と、僕らの娼婦・友愛。僕もそろそろ笑われる場所に身を置きたい。好きなことを自由に何でもやり、僕自身と平等になり、僕だけの友になり、ほかの誰とも友にはならないこと。(53ページ) ナポレオン治世下のパリ、家庭教師アントワーヌは見知らぬ水夫から手紙を渡される。それはかつての仲間

  • エミール・ゾラ『居酒屋』 - 書物を積む者はやがて人生を積むだろう

    うーむ、ゾラを読むのに一週間もかかるとは……いまさらだけど、寝不足は読書の最大の敵だよなあ。 ともあれ、これで叢書の未読はあと七冊、完読が見えてきた。 居酒屋 (新潮文庫) 作者: ゾラ,古賀照一出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1971/01/01メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 57回この商品を含むブログ (23件) を見る(便宜のため新版にリンクしておくが、私が読んだのは旧版。ただし訳者は同じ) 地面では格闘がつづいていた。突然、ヴィルジニーが膝をついて起きなおった。洗濯棒をつかんだのだ。ヴィルジニーはそれをふりまわしはじめた。そして、すっかりしゃがれた声で、あえぎあえぎがなりたてた。 「そうら、覚悟しな! 打ちのめしてやるぞ、洗濯ぎれのかわりにおまえのきたない体を!」 ジェルヴェーズのさっと手をのばし、おなじく洗濯棒をつかむと、棍棒のようにふりかぶった。彼女の声もしゃがれ

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  • オノレ・ド・バルザック『従兄ポンス』 - 書物を積む者はやがて人生を積むだろう

    従兄ポンス〈上〉 (岩波文庫) 作者: H.バルザック,Honore de Balzac,水野亮出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1970/12/16メディア: 文庫 クリック: 6回この商品を含むブログ (1件) を見る従兄ポンス〈下〉 (岩波文庫) 作者: H.バルザック,Honore de Balzac,水野亮出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1972/10/16メディア: 文庫 クリック: 4回この商品を含むブログを見る 「あわれな羊だ!」と、ゴーディサールは、いとまを告げて出てゆくドイツ人に会釈しながら、心の中でいった。「だが結局、人間はそいつをカツレツにしてって生きていくんだ。そうしてあのすてきなベランジェがいうように、『あわれな羊よ、汝らの毛はつねに挟み切られん』だ。 そして内心の感動を追いはらうために、右の政治的詩歌をうたった。(下巻、251ページ) 骨董愛好家で

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    inmymemory 2009/04/21
    「小説のヒロインはポンスのコレクション」
  • ウィリアム・シェイクスピア『尺には尺を』 - 書物を積む者はやがて人生を積むだろう

    尺には尺を (白水Uブックス (26)) 作者: ウィリアム・シェイクスピア,小田島雄志出版社/メーカー: 白水社発売日: 1983/10/01メディア: 新書 クリック: 1回この商品を含むブログ (4件) を見る あなたの運命を変えられるとしても変えたくはない、 あなたの死を祈る祈りは何百回でもくり返すけど、 あなたのいのちを救う祈りは一言も吐きません。(92ページ) ウィーンの公爵ヴィンセンシオは、生真面目なアンジェロに統治を任せ、自身は修道士に身をやつして人々の様子を観察していた。アンジェロは婚前交渉の咎でクローディオに死刑を言い渡す。クローディオの妹イザベラが兄の助命を嘆願すると、アンジェロは彼女に一目惚れし、密かにベッドをともにすればクローディオを助けると言う。しかしイザベラは拒絶。この件を知った公爵は、クローディオを助けるため密かに策略をめぐらす。 『トロイラスとクレシダ』『

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  • ハインリヒ・フォン・クライスト『ミヒャエル・コールハースの運命』 - 書物を積む者はやがて人生を積むだろう

    ミヒャエル・コールハースの運命―或る古記録より (岩波文庫) 作者: クライスト,吉田次郎出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1941/06/28メディア: 文庫購入: 4人 クリック: 15回この商品を含むブログ (14件) を見る 馬商人ミヒャエル・コールハースは、公子ウェンツェル・フォン・トロンカによって不当に馬を横領され、台無しにされてしまう。この件を宮廷に訴えるが相手にされない。憤ったコールハースは、ウェンツェルから賠償を得るため、暴力を以って公子に迫る。 鬼気迫るストーリー展開で読者をとらえて放さない傑作。とりわけコールハースが賊徒と化して復讐を求め戦うくだりは圧巻。「或る古記録より」という副題どおりの記録調のシンプルな文体が、かえってコールハースの異常な情熱の描写を引き立ていて、非常によい。古めかしく(実際古めだが)硬質だが読みやすい訳文も、いかにも「古記録」を読んでいる感

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  • フィリップ・キュルヴァル『愛しき人類』 - 書物を積む者はやがて人生を積むだろう

    愛しき人類 (1980年) (サンリオSF文庫) 作者: フィリップ・キュルヴァル,蒲田耕二出版社/メーカー: サンリオ発売日: 1980/05メディア: 文庫 クリック: 1回この商品を含むブログ (3件) を見る 「いいよ。わかったよ。おまえらのいうとおり、サエルの親父は空なんだろうよ。(319ページ) 停滞文明を描いたディストピアものにして時間・空間SF。鎖国政策を敷くヨーロッパ共同体マルコムに、ベルガセンはスパイとしてはじめて潜入に成功する。ときにマルコムでは、時間を遅くして人生を引き延ばす時間流減速機と、夢を空間に投影する夢現教が流行していた。 ベルガセン、減速機の開発者シモン、シモンの息子サエル、マルコムの野心的政治家ルイス、夢現教の司祭レオなど幾人かの物語が視点を切り換えながら語られ、やがてその筋はまとまっていく。 小説としてのまとまりの点では、ちょっとどうかと思うところもあ

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    inmymemory 2009/04/21
    同じサンリオ文庫のフランスSFとして、ジュリ『不安定な時間』と比べると物語の流れをつかみやすく、読みやすい
  • マイクル・ムアコック『永遠の戦士コルム』全2巻 - 書物を積む者はやがて人生を積むだろう

    剣の騎士 [永遠の戦士 コルム1] (ハヤカワ文庫SF) 作者: マイクルムアコック,佐伯経多&新間大悟,斉藤伯好出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2007/11/08メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 38回この商品を含むブログ (44件) を見る雄牛と槍―永遠の戦士コルム〈2〉 (ハヤカワ文庫SF) 作者: マイクルムアコック,Michael Moorcock,斉藤伯好出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2008/01/01メディア: 文庫 クリック: 14回この商品を含むブログ (19件) を見る 『剣の騎士』『剣の女王』『剣の王』の前三部作と、『雄牛と槍』『雄羊と樫』『雄馬と剣』の後三部作からなる、ヒロイック・ファンタジーのシリーズ。前三部作は、一族を皆殺しにされた公子コルムが、魔術師によって移植されたクウィル神の手とリン神の眼を使って混沌の神々と戦う話。後三部作は、未

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  • ウィリアム・サローヤン『わが心高原に』 - 書物を積む者はやがて人生を積むだろう

    サローヤンを読むのは初めて。 ウィリアム・サローヤン〈1〉わが心高原におーい、救けてくれ! (ハヤカワ演劇文庫) 作者: ウィリアムサローヤン,William Saroyan,倉橋健出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2008/01/24メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 16回この商品を含むブログ (15件) を見る 詩人と言うものは、けっしてこの世から死に絶えることはないのだ。(74ページ) 舞台はカリフォルニアの田舎町。少年ジョオニイは、詩人の父と、アルメニア移民の祖母と三人で暮らし、料品屋コサアクに掛売りをしてもらってどうにか口に糊していた。そんな彼らのもとに、ある日、俳優を自称する老人が現れる。 ジョオニイと中心とした、二人または三人による掛け合いの面白さが作品の見所。深刻な状況にも関わらずユーモアを忘れない逞しさが読んでいて心地良い。ト書きもなかなかふるっていて、 ジ

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