誰にも信じてもらえないが、私は実はポストモダニストだ。 デリダ大好き。アメリカンなデリダ派といえばこの人、ということで、ポール・ド・マンの『理論への抵抗』を読む。 〈デリダ(受容)以降〉のアメリカ・ポストモダン論壇においては、価値相対主義や異なる分野同士の構造の類似性を分類する作業が進んでいたが、一方で、抜け落ちてしまうものもある。 仮に、「言葉」を「情報」と置き換えてしまう際、何かが確実に消えてしまう。それはいったい、何なのか? というわけだ。 そのあたりを考える際、多くの思想家は、「言葉」に内在する「イデオロギー」にのみ焦点を当ててきた。それは、ある意味正しいのだろうが、「イデオロギー」を醸造するものは、「言葉」に内在する精神ではなくて、むしろ、「言葉」の言い回し、すなわちレトリック(修辞)そのものなのではなかろうか? ということがド・マンの主張である。 このレトリックを「語り口」の問
社会調査は面白い! 「聞いてみる」「やってみる」「行ってみる」「読んでみる」ことから始まる社会調査の極意を、失敗体験も含めて、16人の社会学者がお教えします。面白くてマネしたくなる最強の社会調査入門! 特設サイト http://maedat.com/works/saikyo.html ●編著者 前田拓也(まえだ・たくや) 関西学院大学大学院社会学研究科単位取得退学。現在、神戸学院大学現代社会学部准教授。福祉社会学、障害学専攻。『介助現場の社会学』(生活書院、2009年)、ほか。 秋谷直矩(あきや・なおのり) 埼玉大学大学院理工学研究科理工学専攻博士後期課程修了。現在、山口大学国際総合科学部助教。エスノメソドロジー・会話分析専攻専攻。『ワークプレイス・スタディーズ――働くことのエスノメソドロジー』(編著、ハーベスト社、近刊)、『フィールドワークと映像実践――研究のためのビデオ撮影入門』(共著
ミリアム・ハンセンは、主著『バベルとバビロン』(Babel and Babylon: Spectatorship in American Silent Film, Cambridge, Mass.: Harvard univ. Press, 1993)で知られる映画研究者、文化社会学者である。これから紹介する「初期映画/後期映画――公共圏のトランスフォーメーション」(初出はScreen誌1993年、修正版の単行本への再録は95年)は、古典映画の時代(30-60年代)を挟むプレ/ポスト古典期の相同性を、両者の形式上の相違を越えて「公共圏」の変動という観点から捉えた論考だ。興味深い点のひとつは、70年代までに支配的だった記号論的、あるいは精神分析的な映画理論からの脱却にあたって、観客性(spectatorship)と公共圏(public sphere)という概念枠組みを採用し、後者についてはオ
メディア・スタディーズ (serica archives) 作者: 吉見俊哉出版社/メーカー: せりか書房発売日: 2000/04メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 19回この商品を含むブログ (43件) を見る 既存のマス・コミュニケーション研究やメディア論のパラダイムを内側から喰い破っていく試みとして、ここにメディア・スタディーズを構想。文学的なメディアや映画、ポピュラー音楽などがこの構想の射程に含まれるのはいうまでもないが、同時にテレビや新聞、雑誌、広告、マンガなどがメディア・スタディーズにとって中核的な探究のフィールドとして焦点化されなければならない。マクルーハン風にいうならば、概して「冷たい」メディアに属するこれらは日常生活と切れ目なくつながっており、テクスト論的なアプローチには限界がある。メディアを作者の意図や意味が結晶化されている媒体としてではなく、その前にたむろし、
一条真也です。 『アンチ・スペクタクル』長谷正人・中村秀之編訳(東京大学出版会)を再読しました。『唯葬論』(三五館)の参考文献として読んだのですが、現在は絶版で古書価は1万円ぐらいします。本書は「モダニティとテクノロジーの経験」としての映像文化をテーマにした英米圏の記念碑的論文を本邦初めて翻訳・集成したものです。気鋭の社会学者および映画研究者による充実した解題付きで、メディア・文化・社会の研究に必須となる基本論集です。 カバー表紙には、世界初の実写映画といわれるルイ・リュミエールの短編モノクロ無声ドキュメンタリー映画「工場の出口」(1985年)の写真がデザインされています。 本書の帯 帯には、「この本を読まずして、『映画』と『モダニティ』を語ることなかれ」というリード文に続いて、「トム・ガニング、ジョナサン・クレイリー、メアリー・アン・ドーン、ダイ・ヴォーン・・・・・・英語圏における映像文
慰安婦問題は、まずは、日本軍の海外駐兵が拡大するに伴い当時日本の国内(本土・朝鮮・台湾)から海外に派遣された慰安婦問題として、1980年代後半に日韓関係の文脈で提起された。議論が進む中で、軍が進駐した現地の女性による慰安所の問題も併せ議論されるようになった。概ね三つの見方が成立した。 一つは、慰安婦は、軍が海外進駐にともなって連れて行った公娼であるとする「公娼派」の見方だった。もう一つは、この対極にある見方で、これら女性は物理的な強制を含む本人の意思に反する形で慰安所に連れてこられ、その本質は、強姦であるとする「制度的レイプ派」の見方だった。 その中間に、1993年の河野談話とこれを基礎として1995年に発足活動したアジア女性基金の考え方があり、女性たちが強いられた生活は苦しく悲惨なものであり、日本政府としてその責任を認め、謝罪し、償いのための行動をとるというものであった。「河野談話派」と
2016年07月18日 日常のなかの音楽――細馬宏通『介護するからだ』(医学書院)を読んで 細馬宏通『介護するからだ』(医学書院)が、とても良い本だった。人間行動学者である細馬さんが、介護現場で生きる人々(介護する人/される人)を観察し、そこがいかにマジカルで音楽的(途中、即興演奏ワークショップとの類推が入る)な場所になっているかを描いている。社会的にハンディを負った人の身体をユーモラスに描くという点には大野更紗『困ってるひと』(ポプラ社)を、障がい者の創作のエピソードには荒井裕樹『生きていく絵』(亜紀書房)を、ひるがえって、多くの人のなにげない日常がいかにマジカルなものかを活写する点には槙田雄司『アナーキー・イン・ザ・子供かわいい』(アスペクト)を思い出した。本職のことはあまり書かないようにしているが、読後の勢いとともに、たまには書いてみよう。 運動部の顧問をやっていて、基本的には、真
アーロン・ベナナフ 著 2022年10月31日発売 2,420円 「AI技術の発展にともなう急速な自動化(オートメーション)によって、多くの仕事が不要になり大量失業が引き起こされる」 そんな言説が、シリコンバレーの有力者から、政治家、批評家などにまで広がり、雇用危機が盛んに論じられている。 しかし、本当に「オートメーション化」によって、私たちが直面しつつある雇用危機は説明できるのだろうか? 世界的に注目を集める社会理論家アーロン・ベナナフが、このような「オートメーション論」が抱える誤りを明らかにし、その裏に隠された資本主義の根本的な問題に迫る。 安里 長従、志賀 信夫 著 2022年8月31日発売 2,640円 「本土復帰」から50年を経てもなお、いまだに基地と貧困が集中している沖縄。 安全保障のためには基地の集中は仕方ないという、一方的な主張に加え、近年、沖縄の貧困
勉強しにくい現代文を得点源に!絶対におすすめな参考書10選 2015/11/9 2023/2/9 大学受験, 現代文勉強法 「さあ、現代文の勉強をしよう!」と思っても、現代文の参考書は数が多く、どれを選んだら良いかわかりにくいかと思います。 そこで、このページでは実際の入試のように文章を読みながら問題を解くもの(問題集)、現代文独特の用語をまとめたもの(キーワード集)、漢字だけをまとめたもの(漢字練習帳)の3種類のカテゴリーに分け、それぞれオススメの参考書を紹介していきたいと思います。 自分に必要なものはどのタイプなのかを見極めつつ、あなたにあった参考書を見つけてください。 ※この記事で目標としている偏差値は、河合塾全国模試の偏差値を目安にしています。高2の方は(記載している偏差値+5)として読み替えてください。 1.現代文の勉強を始める前に 「現代文は勉強方法がよく分からないし、やる意味
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く