さて、「戦前の人たちはどのような字体で書いていたのか」ということについて考えているわけですが、なかなか「戦前の人たち」のところまで行かず、それ以前のところで立ち止まっています。前回は江守賢治さんの著作に従って、その説をご紹介しました。そこで問題なのは、我々は江守説をどこまで信じてよいのかということです。 もちろん江守説を否定したいのではありません。むしろ逆で、江守説をより深く理解するには、さまざまな角度からの検証が必要だということです。なんだか当然のことを言ってますが。 江守さんは、歴史的なある現象を観察し、その観察に基づき所説を立てられた。ならば、同じような現象を観察している人を探し、その人がどのような主張をしているかを調べればよいわけです。その上で両者が同じことを言っているなら、それは鉄板、すなわち十分に信じてよいということになるでしょう。 漢字字体の歴史について、江守賢治さんの他にオ