今,携帯電話サービスで話題の一つとなっているのが「フェムトセル」(femto cell)だ。これは,携帯電話の基地局を小型化し,ブロードバンド回線に接続できるようにしたシステムである。例えば,電波の入りにくい地下や屋内にフェムトセルのAP(access point:基地局)を設置し,簡単にエリアを補うことが可能となる。ソフトバンク・グループが実験局免許を取得して実験を始めた(参考記事)ほか,NTTドコモもフェムトセルのAPを開発したと発表(参考記事)している。 現状の制度上では,このフェムトセルのAPをユーザーが勝手に設置できない。実用化には法制度の変更が必要となる。それでも,「フェムトセルはワイヤレス・ブロードバンドの世界を大きく変革する可能性を持った,まったく新しい技術」と期待する声は多い(参考記事)。 筆者はこのシステムのビジネス・モデルに興味がある。というのも,どの携帯電話事業者も
先週は九州大学での特別講義の後に休暇を取って、熊本でゆっくりしていたかったんだが、木曜に通信プラットフォーム研究会が予定されていたので福岡から戻って早々に参加した。結構マスコミが来ていたのに記事にはならなかったが、高木氏が様子を伝えている。 僕の発言で個体識別番号の個別的な議論は次回以降に先送りする方向で機先を制したつもりが、結果としてプライバシー論議の呼び水となってしまい、この研究会で本来議論していた通信プラットフォームの解放による産業へのインパクトについて充分に議論を深められず、分かりやすく伝えられなかった点が残念ではある。 今回の研究会で個人的に注目している政策的な論点は大きくふたつあって、ひとつはGoogle Street Viewのように技術革新によって従前の議論とは全く前提の異なるプライバシー問題が出てきた場合、日本の常識が通用しないプレーヤーが出てきた場合等の政府の役割、もう
毎日上層部と会って話した 7月20日に毎日新聞が低俗記事についての検証紙面を掲載したが、その直前に私は同社の上層部の人と話す機会があった。このとき私は、次のように話した。 ――マスメディアとインターネットの対立は、団塊の世代をはじめとする中高年と、30代のロストジェネレーション世代を中心とした若者層の世代間対立という背景事情を持っている。この対立はブログ論壇がネットの空間の中に現れてきた2004年ごろからくすぶりはじめて、2005年には郵政解散でこの対立が顕在化し、小泉元首相批判を繰り返したマスメディアに対しネット世論は小泉指示に回った。小泉圧勝という結果は「マスメディアよりもネット世論の方が正しかった」という初めての勝利体験をネットの世界にもたらしたが、しかしその後はこうした対立が鮮明になるような状況は生まれてきていなかった。これがある種の焦燥感となって「ブログの世論はリアルに何の影響も
グーグルの新機能「ストリートビュー」が、論議を呼んでいる。上の画像はわが家の近所だが、確かに驚異的な細密さだ。私は意に介さないが、これを「気持ちが悪い」という人がいるのも事実だろう。先行してサービスが始まった海外でも、訴訟などが起こっている。これに対して「自分の家を映すのはやめてくれ」というのは自由だが、法的根拠はない。風景は個人情報ではないからだ。まして「サービスをやめろ」などというのは暴論である。 ただ高木浩光氏の報告によると、総務省の「通信プラットフォーム研究会」で、グーグルの担当者が「日本では、名前を表札に書いている。わざわざ自分の名前を公道に出しているわけだから、プライバシーなんて気にしていない」と発言したようだ。こういう無神経な発言は、火に油を注ぎかねない。そもそも名前がプライバシーなのか、というのが大問題だからである。ASCII.jpのコラムにも書いたが、私は個人情報保護法
■ 日本の家屋の塀はグーグル社に適応して70センチ伸びるのか 前回の日記に傍聴録を記したように、その研究会では図らずもグーグル社の考え方を聞くことができた。そのタイミングから、Googleマップの「ストリートビュー」について述べられたものと解釈している人がいるようだが、このご発言は、携帯電話や固定通信網における個人識別子の扱いに関連する議論の文脈において出たものである。 さて、Googleマップの「ストリートビュー」だが、日本でも開始されたと知って早速いろいろなところを見てみたところ、それは予期していたのとは違うものになっていた。車一台スレスレ通れるか通れないかのような細い道にまで撮影車が積極的に入り込んでおり、特に予想外なことに、住宅密集地で、高い視点から塀の中を見下ろして撮影している。 これは通常の通行人の目線で見える風景との違いを比べる必要があると思った。そこで、現地を訪れて実際の塀
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