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  • ユニクロは日本を滅ぼすか - 池田信夫 blog

    今月の『文藝春秋』に出ている浜矩子氏の「ユニクロ栄えて国滅ぶ」という原稿が話題を呼んでいる。日経済のスーパースターと目されるユニクロが日経済を滅ぼすと主張しているので、私も見出しに引かれて読んでみたが、唖然とした。彼女はこう書く:この過激なまでの安売り競争は、さらに一段の不況地獄の先触れではないだろうか。少し落ち着いて考えてみればいい。250円の弁当で1すませる生活が当たり前になれば、まともな値段の弁当や事は「高すぎる」ということになってしまう。(強調は原文)もう少し落ち着いて考えてみよう。「まともな」値段とは何だろうか。浜氏は原価に「適正利潤」を乗せた価格を想定しているようだが、これは誤りである。少なくとも経済学でいうまともな価格(均衡価格)は、限界費用と等しい水準であり、利潤はゼロになることが効率的なのだ。そういう競争をしたら「経済がどんどん縮小してゆき、デフレの悪循環に陥って

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    isrc 2009/09/13
    グローバル化とは「自分さえよければ病」。自衛する方法は基本的には二つ。新興国ではできないスキルを身につけ、水平分業のハブになる。第二は非貿易財やサービス業に労働人口を移動し、中国との競争から逃げる
  • ツイッターはなぜノイズが少ないか - 池田信夫 blog

    ゲーム理論にメカニズムデザインという分野がある。これ自体は非常に数学的に高度なので、一般の読者にはおすすめできないが、基的な考え方は福祉経済学を拡張した規範的ゲーム理論だ。普通のゲーム理論は、あるゲームのルール(利得行列)のもとで人々が合理的に行動するとどうなるかという結果を予想するが、メカニズムデザインでは逆に、望ましい結果を実現するゲームのルールはどのようなものかを考える。 最近、2週間ほどツイッターを使ってみて、意外にノイズが少ないことに気づいた。直感的には、断片的な「つぶやき」を全世界に発信できるとノイズだらけになりそうなので、私もアカウントをとったまま休眠状態だった。しかし先週のネットラジオで聴取者の反応を募集するために使ったら、意外にちゃんとした意見が集まった。これについて先週のASCII.jpで書いたら、いろんな反応がきた。 Dankogaiは「たとえ@celeb 三国

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    isrc 2009/09/06
    一度バカなことをいうと自分の存在が抹殺されてしまうので、自分の評判を守るインセンティブが生じる。この評判メカニズムは、アカウントが実名か匿名かにはあまり依存しない
  • ネット選挙を「解禁」した自民党 - 池田信夫 blog

    「野党化」した自民党が元気だ。麻生氏は野党党首のほうが似合っているし、民主党に対するネガティブ・キャンペーンもおもしろい。出色なのは、YouTubeにも出ているネットCMだ。特に注目されるのは、最新作の「ラーメン篇」の日付が8/21と自民党の公式サイトに掲載されている点だ。公選法では、公示後のウェブサイトの更新は公選法で禁止されてるんじゃなかったっけ? 自民党の広報によれば、「政党の通常の政策、政治活動で、問題ない。候補者の名前は出さないよう、十分気を付けている」という。これは正しい。私も先週のASCII.jpのコラムで書いたように、何が公選法にいう「選挙運動のための文書図画の頒布」にあたるかは法的な定義がない。自民党のいうように政党の広報活動は「選挙運動」ではないという解釈も成立するし、ウェブサイトの更新は何も「頒布」していないという解釈も可能だ。 最大の問題は、すべてのウェブサイト

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    isrc 2009/08/30
    自民党がこれまでネット選挙の解禁を妨害してきたのは、彼らの支持基盤である老人に不利だからだが、大手メディアが「民主党圧勝」一色に塗りつぶされると、ウェブを使って反撃に出てきた。
  • 日本企業はなぜ敗れたのか - 池田信夫 blog

    竹森氏のを読んで、なぜこんなに現状認識が違うのか考えたが、ふと思い当たった。彼が、かつてリフレ派として「不況期に構造改革をするのはバカだ」という論陣を張っていたのは、日経済の「構造」に問題がないと思っているからなのか。90年代以降の「失われた20年」は超長期の景気循環で、その原因はマネタリーなものだから、金融政策を適切に運営すれば日経済の成長は回復する――という趣旨のことを彼は何度か書いている。 率直にいって、これは認識不足といわざるをえない。長期停滞の最大の原因は、TFP上昇率の低下によって潜在成長率が低下したことだ。生産性の低下は80年代から始まっていたが、バブルによって隠れていた。90年代のバブル崩壊によって、それが顕在化しただけなのだ。これはHayashi-Prescottのような一部門モデルではわからない、戦略産業であるIT部門で起こった構造的な変化である。 その分水嶺

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    isrc 2009/08/13
    「匠の技」の通用する分野は狭まっており、ビジネス的には袋小路である。また持続的な成長によるレントを分配することも困難になった今、市場ベースの水平分業に移行することは避けられない。
  • ビジネス・インサイト - 池田信夫 blog

    イノベーションについてのを書くために経営学のをいろいろ読んでみたが、「イノベーションの何とか」と題したにはほとんどイノベーションがなく、いろいろな成功例を並べて結果論を語るだけのものが多い。その中で、書は科学的な方法論を踏まえた数少ないである。 著者は『マーケティングの神話』で、マーケティング・リサーチによって集めたデータからすぐれた商品を開発しようとする実証主義が神話であることを明らかにした。書はその延長上で、まず事実からイノベーションを「帰納」するという思想が、科学哲学で100年前に破産した論理実証主義の焼き直しであると断じる。その上で著者がよりどころにするのは、マイケル・ポランニーの暗黙知の概念である。 暗黙知というと、野中郁次郎氏などの一橋スクールによって経営学ではおなじみだが、著者は彼らの解釈はポランニー自身の思想とは違うと批判する。野中氏などのいう暗黙知は、職人

  • NTT再々編論争がまた始まる - 池田信夫 blog

    きのうの谷脇さんのICPFセミナーは、珍しく大盛況だった。かつて携帯電話の販売奨励金をやめる方向を打ち出し、キャリアはもうかりベンダーは泣いて「谷脇不況」などといわれた実力者の話だけに、業界の注目度も高かったようだ。 内容も、役所の話には珍しく率直だった。私が質問したのは「当初は既存9法をなくして情報通信法に一化するという話だったが、NTT法はどうなるのか?」ということだったが、これについては「残る」という答だった。検討委員会の中間論点整理にも「NTT及びNHKの業務内容の在り方については、総合的な法体系の在り方に直接影響するものではないことから、委員会の検討対象とはならない」(p.18)と明記されている。 もともとこの法案は、「NTT法のような特殊会社として規制するのは筋が悪いので、EUのようにレイヤ別に整理しよう」という発想で始まったのだが、竹中懇のあとの政府・与党合意では「N

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    isrc 2009/06/28
    「既存の法律を残したまま基本的な考え方を書く『土地基本法』みたいなものになるのではないか」という観測は、当たらずとも遠からずといえそうだ。現状で政治や業界と利害調整すれば、こうならざるをえないだろう。
  • 何も破壊しない日本が破壊される - 池田信夫 blog

    最近ブログ界では日に見切りをつける話が流行しているが、Economist誌も日には匙を投げたようだ(要約はいつもの通り適当):日はながく業界を守る「護送船団行政」を続けてきたが、今回も史上最大のバラマキによってそれを続けようとしている。欧米諸国でも似たような政策は行なわれているが、それは例外であり、きびしい批判にさらされている。しかし日では、税金を「ゾンビ企業」に資注入することが当たり前のように受け入れられている。 これはきわめて有害である。日には、利益の出ない会社が多すぎる。たとえば携帯電話メーカーは8社もあり、そのほとんどは赤字だ。こういう企業は自分の首をしめているだけでなく、貴重な資と人材を浪費しているのだ。おかげで日企業のROEはアメリカの半分しかない。 この大不況にあっても、日企業の廃業率は英米の半分しかなく、倒産は15%しか増えないと予想されている。欧州で

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    isrc 2009/06/21
    ゾンビ企業の延命によって柔軟な労働市場と起業が阻害されている――この二つの分野こそ、日本がもっとも改革を必要としているものだ。日本の失敗は資本主義には破壊が重要だという貴重な教訓である
  • 梅田望夫氏の開き直り - 池田信夫 blog

    梅田氏のインタビューが、あちこちで話題になっている。私が一番ひっかかったのは、次の部分だ:ただ、素晴らしい能力の増幅器たるネットが、サブカルチャー領域以外ではほとんど使わ[れ]ない、“上の人”が隠れて表に出てこない、という日の現実に対して残念だという思いはあります。そういうところは英語圏との違いがものすごく大きく、僕の目にはそこがクローズアップされて見えてしまうんです。この「残念」な状況を作り出した大きな原因は、はてなである。梅田氏が「バカなコメントが多い」といったように、匿名による悪罵が「上の人」を萎縮させて、日のウェブのレベルを下げているのだ。その結果、アメリカのブログは著名人が既存メディアの枠を超えてリアルタイムで議論する場になり、大手メディアに対抗する存在になりつつあるのに、彼も嘆くように日のブログはますます劣化している。 私は、これは「日文化」だとは思わない。それは戦

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    isrc 2009/06/05
    「残念」な状況を作り出した原因は、はてな。それは戦後の日本企業システムの鏡像。卑怯者に「ガス抜き」のプラットフォームを提供することによって、この救いのないシステムを延命する役割を果たしている。
  • 霞ヶ関の権威と権力 - 池田信夫 blog

    民主党の鳩山新代表の公約をみて驚いた。最初にかかげられている最重点項目は「霞が関から市民への大政奉還」である。もののたとえだろうが、21世紀の政策にこういう儒教思想が出てくるのは、彼の官僚機構についての認識の甘さをうかがわせる。 大政奉還という言葉は、勤王派の「王政復古」の思想に対応する。儒教では「王道」に対して、武力で政権をとる「覇道」を邪道と考え、特に日では万世一系の天皇が征夷大将軍を任命したと考える。いわば天皇がプリンシパルで幕府はエージェントだから、後者が前者の意に沿わない場合は解任するのは当然、という発想だ。ここで「奉還」されるのは天皇から委任された権力であって、鳩山氏が想定している国民主権ではない。 これは単なるワーディングの問題ではない。このようにして奉還された天皇の大権が、明治以降の官僚機構のよりどころだったからだ。鳩山氏がこのような日の官僚機構の儒教的な性格に無自

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    isrc 2009/05/18
    100年以上にわたって蓄積されてきた霞ヶ関の「暗黙知」の集積は莫大なもので、政治家がそれに対抗することは容易ではない。GHQでさえ手をつけられなかった組織を、「大政奉還」なんてとぼけたことをいっている民主党が
  • 「勤勉革命」を超えて - 池田信夫 blog

    この不況で問われているのは、日人の働き方だと思う。日企業が戦後の一時期、成功を収めた一つの原因は、農村共同体が解体したあと、その行動様式を会社に持ち込んでコミュニティを再構築したことにある。その労働倫理の原型は明治期より古く、江戸時代に市場経済が農村に浸透してきたころに始まるといわれる。速水融氏は、これを産業革命(industrial revolution)をもじって勤勉革命(industrious revolution)とよんだ。 イギリスの産業革命では、市場経済によって農村が工業化され、資集約的な産業が発達したのに対して、日では同じころ逆に市場が農村に取り込まれ、品質の高い農産物をつくる労働集約的な農業が発達した。二毛作や棚田のように限られた農地で最大限に収量を上げる技術が発達し、長時間労働が日常化した。そのエネルギーになったのは、農村の中で時間と空間を共有し、家族や同胞のた

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    isrc 2009/05/10
    人生の目的は経済成長ではなく幸福だ。日本国民の一人あたりGDPはここ50年で7倍になったが、幸福度は2.9から2.6に低下した。もうそろそろ会社に売り渡した時間を取り戻し、自分の人生を自分で決めてはどうだろうか。
  • 長期雇用という物語の終わり - 池田信夫 blog

    の制度改革でもっともむずかしい(そのために取り残されている)のが、雇用規制の改革だ。特に長期雇用は、企業や労働者にとって個別には合理的であるため、それを改めるインセンティブがない。労働者にとっては、いつクビになるかわからない雇用契約より終身雇用のほうがいいに決まっているので、彼らが長期雇用を望むのは当たり前だ。他方、企業も他社が長期雇用で採用しているとき、自社だけ有期雇用で募集してもいい人材は来ない。 だから労働者は転職を考えないで社内の出世競争に特化し、企業も正社員を解雇しないで新卒の採用を抑制し、非正社員に置き換える。こうした労働市場の二重化によって賃金に格差が生じ、平均賃金は競争的な水準より高くなって過少雇用が起こるというのが効率賃金仮説である。個別には合理的な行動の集計が社会的に非効率的な結果をまねく原因は、各個人や企業の行動が他の経済主体に影響を及ぼす外部性があるからだ。つ

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    isrc 2009/05/08
    1.柔軟な労働市場―競争的な賃金―容易な解雇―容易な転職/厚労省が政策を転換して1の均衡を選ぶと宣言し、解雇規制や派遣労働の規制を撤廃するだけで、非正社員の問題は大きく改善する可能性がある。
  • 会社に人生を預けるな - 池田信夫 blog

    最近の終身雇用をめぐる記事に対するウェブでの反応をみると、ほぼ9割以上が賛成という感じだ。サラリーパーソンにとっては、会社が当てにならないというのは、昨今の不景気で身にしみているのだろう。かりに会社が終身雇用を維持したとしても、その会社がつぶれたらどうしようもない。著者もいうように、今や外部労働市場でつぶしのきかない会社人間になりきることは、かえってリスクの高い生き方なのである。 しかし書の議論は、かなり荒っぽい。これまでにも書いたように、著者の批判する「終身雇用制」などというものは、制度としても実態としても存在しない。労働経済学や労働法の専門家は、このミスリーディングな用語を避けて、長期雇用という言葉を使うのが普通だ。またサラリーパーソンを奴隷と同一視して、南北戦争が「北部で奴隷を抱えるコストを雇用主が負担しきれなくなった」ために起こったというのもおかしい。 古代ローマで奴隷が解放

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    isrc 2009/05/08
    現状は古代ローマ末期のように、社畜という事実上の奴隷制のコストが高くなりすぎた状況に近いのではないか。それは社畜にとってリスキーなだけではなく、企業にとっても事業効率化の足枷になっている。
  • 雇用の調整メカニズム - 池田信夫 blog

    きのうの記事は戦前までのことしか書かなかったが、戦前に日的労使関係の原型ができたとはいえ、「終身雇用」が成立したわけではない。通説のおさらいだが、拙著の第3章の内容を紹介しておこう。 終戦直後の労使関係を特徴づけるのは、激しい生産管理闘争だった。これはマルクスの「生産の社会的管理」の理念を追求し、労働者が経営に参加して企業をコントロールすることを求めるものだった。1940年代の読売争議、東芝争議などは経営側が一部譲歩して労組の経営参加を認めたが、50年代になるとGHQの占領政策の転換によって「総資」が「総労働」を弾圧する方針に転換し、その頂点ともいえる1960年の三井三池争議で労働側が敗北し、労使対決の時期は終わった。 こうした争議の主要な争点は、解雇反対闘争だった。つまり50年代までは、解雇はかなり自由に行なわれていたわけだ。10年以上勤続の労働者の比率も1957年で15.8%と

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    isrc 2009/05/08
    雇用調整カニズムが解雇(50年代)、配置転換(60年代)、出向(70年代)、非正社員(90年代)と変化/現代の最大の問題は正社員と非正社員の身分格差が固定し、正社員も社内失業しているという人的資源の浪費
  • 社畜はいかにして生まれたか - 池田信夫 blog

    雇用問題を冷静に考える最大の障害になっているのは「労働者は資家に搾取される弱者で、政府が救済しなければならない」という通念だ。社会主義が崩壊した後も、この固定観念は多くの人々に共有されているが、クラークはこれを経済史の計量的な研究によって否定している。 そもそもプロレタリアートがそれほど悲惨な存在なら、なぜ産業革命の時期に農業を捨てて工場労働者になる人が急増したのだろうか。答は簡単である。プロレタリアートのほうがはるかに所得が高かったからだ。クラークのデータによれば、産業革命後のイギリスで急速な成長による収益のほとんどは、単純労働者に分配された。この理由も簡単だ。労働市場の競争が激しく、労働生産性の上昇に応じて賃金が上がったからだ。限界生産力説の教えるように、労働市場が競争的であれば賃金は労働の限界生産力に等しくなるのだ。 日でも、終身雇用が理想で戦前の労働者はすべてかわいそうな「

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    isrc 2009/05/08
    長期雇用を求めたのは経営者。ねらいは労働市場の競争圧力を弱めること。日本のサラリーマンの大部分は転職のオプションが絶たれているために、会社にしがみついているにすぎない。
  • 終身雇用という幻想を捨てよ - 池田信夫 blog

    元同僚から送ってもらったNIRAの緊急提言は、よくできている。内容はおおむね経済学者のコンセンサスだが、長期雇用だけを「正規雇用」として転職を悪とみなす労働行政を変えるべきだと明確に提言し、flexicurityの理念を掲げたことは注目に値する。 この表でもわかるように、終身雇用と呼べるような実態は従業員1000人以上の大企業の男性社員に限られており、その労働人口に占める比率は8.8%にすぎない。これは戦後ずっと変わらない事実であり、終身雇用が日の伝統だなどというのは幻想である。しかも次の図のように、この30年間で産業別の成長率は大きく差がついている。全産業で一律に雇用を守ることは不可能であり、労働市場の硬直性が労働生産性を(したがって成長率を)制約している。 図のように生産性格差が大きく開いている現状では、雇用政策は衰退産業から成長産業に労働力を移転する産業政策の役割も果たす。かつ

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    isrc 2009/05/03
    NIRAの緊急提言は、よくできている。すぐれているのは労働者のemployabilityを高める積極的労働市場政策について具体的に検討していることだ。具体策として「高校、高専、大学の活用」を挙げているのも正しいと思う。
  • そしてもう一度夢見るだろう - 池田信夫 blog

    松任谷由実の3年ぶりのニューアルバム。正直いってあまり期待していなかったが、「デビュー35周年」にしてはまだ元気があるなと思った。 彼女は私と同じ学年で、たまたまデビュー・コンサートも聞いたので、時代的な体験も重なる。彼女の(人気の)ピークは80年代だった。そのころ私はNHKに勤務していて、彼女にインタビューしたことがあるが、松田聖子などにも曲を提供して多くのヒットを飛ばし、まさにバブルの象徴のような存在だった。「私が売れなくなるときは銀行がつぶれるときよ」という名言を吐いたが、その言葉どおり90年代に銀行がつぶれたころ、音楽的にもセールス的にも行き詰まった。 いま思えば、彼女の才能は「ビジネスモデル」を創造したことだったと思う。音楽的には最初の2、3枚のアルバムを除いてあまり見るべきものはないが、それまでのフォークソングがオープンソースだったとすれば、彼女は日のポピュラー・ミュージ

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    isrc 2009/04/29
    彼女は日本のポピュラー・ミュージックに資本主義を導入したビル・ゲイツみたいなものだ。2人に共通するのは、作品にはそれほどオリジナリティはないが、流通を戦略的にコントロールして利潤を最大化したことだ。
  • 希望を捨てる勇気 - 池田信夫 blog

    昨今の経済状況をめぐる議論で、だれもが疑わない前提がある。それはこの不況が、いずれは終わるということだ。日経済にはもっと実力があるので、政府が景気対策で「GDPギャップ」を埋めて時間を稼いでいれば、「全治3年」で3%ぐらいの成長率に戻る――と麻生首相は信じているのかもしれないが、昨年の経済財政白書は次の図のような暗い未来像を描いている: これは秋以降の経済危機の前の予測だから、潜在成長率は1%弱だが、今はマイナスになっている可能性もある。90年代の「失われた10年」と現在はつながっており、そしてこの長期停滞には終わりがないかもしれないのだ。これを打開するには、生産性を上げるしかない。特に雇用を流動化して労働の再配分を行なう必要があるが、それには非常に抵抗が強い。日の産業構造が老朽化しており、これを再編しないと衰退する、と多くの人が90年代から警告してきた。20年間できなかったことが、

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    isrc 2009/04/26
    日本は現在の欧州のように落ち着いた、しかし格差の固定された階級社会になるだろう。「明日は今日よりよくなる」という希望を捨てる勇気をもち、足るを知れば、長期停滞も意外に住みよいかもしれない。
  • イノベーションの経済学 講義録 - 池田信夫 blog

    Next Global Jungleで、YouTubeにアップロードされた私のSBI大学院大学の講義を、ほぼ逐語的に書き起こしてくれた(YouTubeの画像つき)。全部で7時間だから、原稿用紙で約400枚。1冊分だ。これを私の学生でも何でもない人が、ボランティアで(1ヶ月以上かけて)やってくれるのだから、ウェブってすごい。ありがとう。 第1章 イノベーションとは何か 第2章 イノベーションの思想史 第3章 経済成長と生産性 第4章 起業家精神 第5章 技術革新 第6章 ファイナンス 第7章 ...

  • シリコンバレーの「核の冬」 - 池田信夫 blog

    Web2.0バブルが終わった。グーグルの大成功をみて多くの企業が参入したが、結局ものになったのはグーグルだけだった、とEconomist誌は総括している。それはビジネスとしては「2.0」なんかではなく、ドットコム・バブルと同じ広告モデルしかなかった。そして景気の影響をもっとも受けやすい広告ビジネスは金融危機で消滅し、また「核の冬」がやってきた。 資主義の条件は持続的に利潤を生み出すことだが、その基盤となっている市場メカニズムは利潤をいつぶす。マルクスもいったように、「商品経済は偉大なレヴェラー(水平主義者)」なのだ。利潤率は傾向的に低下し、国内で鞘が取り尽くされたあとは植民地から、そして植民地が独立するとグローバル資主義による「経済植民地」から、それも限界が来ると金融資主義によって・・・と絶えず新しい利鞘を追求する自転車操業が資主義の宿命だ。 しかし利潤は市場や情報の不完全性

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    isrc 2009/03/21
    Web2.0バブルが終わった。結局ものになったのはグーグルだけだった、とEconomist誌は総括している。ビジネスとしてはドットコム・バブルと同じ広告モデルしかなかった。
  • 新聞・テレビの没落 - 池田信夫 blog

    あす発売の週刊東洋経済の特集は「テレビ・新聞 陥落!」。私も「新聞・テレビ没落で始まるローコスト・メディアの時代」という4ページの原稿を書いた。似たような話を、先週のASCII.jpにも書いた。 私が1993年にNHKをやめたのは、まもなく地上波テレビは没落するだろうと思ったからだが、テレビ局は意外にしぶとく、政治家を使って電波利権を守り、数千億円の補助金を政府から引き出して延命してきた。しかし、ようやく悪運もつきたようだ。在京キー局(日テレ・テレ東)が昨年の中間決算で初めて赤字になり、3月決算では全キー局が赤字になる可能性もある。 東洋経済の特集で氏家斉一郎氏(日テレ議長)もいうように、これは不況による一時的な落ち込みではなく、マス媒体による広告という手法の効果が落ちたためなので、回復は見込めない。2011年をピークとしてテレビ(アナログ・デジタル計)の台数は減少に転じ、テレビ・新聞

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    isrc 2009/01/26
    インターネットは電波利権のような独占を破壊して競争をもたらし、価格を下げる。これに対応するには、売り上げを増やすのではなく、インフラを捨ててコストを下げるしかない。