Published 2020/04/27 07:00 (JST) Updated 2020/05/01 14:30 (JST) 店内に入ると、昆布の香ばしい香りが漂っていた。観光名所の「札幌市時計台」からほど近いアイヌ料理専門店「ケラピリカ」。アイヌ語で「おいしい」という意味だ。エゾシカのサッカム(干し肉)、サケのサッチェプ(薫製)、キトピロ(ギョウジャニンニク)の漬けもの。昆布の香りの出元は、具だくさんの汁物「オハウ」だ。自然の食材を優しい味付けで整えた民族の家庭料理がテーブルに並ぶ。伝統楽器ムックリのビョン、ビョーンという幽玄な音色も相まって食欲をそそる。 店主はアイヌ民族にルーツを持つ今博明さん(52)。23年腕を磨いた大阪を離れ、昨年、店を開いた。「国内唯一のプロのアイヌ料理人」と胸を張る今さんがこの道を選んだのは、すさまじい差別を受けたことがきっかけだった―。(共同通信=大日方航