前知事の失職に伴う兵庫県知事選を巡り、毎日新聞社と神戸新聞社は17日、投票を終えた有権者を対象にインターネット調査を実施した。再選を確実にした前知事の斎藤元彦氏(47)は幅広い層から支持を集めた。特に若い世代に浸透し、10~20代の投票先の7割近くは斎藤氏だった。 斎藤氏は知事選で、前兵庫県尼崎市長の稲村和美氏(52)と事実上の一騎打ちの展開に持ち込んだ。いずれも政党の公認や推薦を受けない無所属で立候補し、支持は伯仲した。
米大統領選の選挙結果を受け演説するトランプ前米大統領=南部フロリダ州ウェストパームビーチで2024年11月6日、AP 米大統領選の共和党候補、トランプ前大統領は6日未明(日本時間6日午後)、南部フロリダ州の集会で演説し「47代米大統領に選ばれたことを名誉に思う」と「勝利宣言」した。CNNによると、選挙人の獲得数は当選ライン(270人)に届いていないが、激戦7州のうち最激戦州の東部ペンシルベニア州と南部2州で勝利。トランプ氏は「少なくとも315人に届くだろう」との見通しを示した。 トランプ氏は集まった支持者を前に「我々は今夜歴史を作った。あなたがたの投票を誇りに思う」と強調した。また「米国は助けを求めている。我々の運動は、国を癒やすのを助けていく」と述べた。【ワシントン秋山信一】
市役所の窓口などで、職員が市民らから理不尽な仕打ちを受ける「カスタマーハラスメント(カスハラ)」の防止対策として、庁舎内での撮影、録音を禁止する自治体が増えている。職員や他の来庁者の肖像権や個人情報の保護、SNSでの拡散の抑止などを理由に挙げるが、録音まで禁じることについては疑問の声も上がる。生活困窮者の支援団体は、「生活保護の申請時、録音禁止が悪用されかねない」と懸念しており、運用が注目される。 録音まで禁止 理由は? 栃木県内では小山市が2021年4月、大田原市が23年3月、宇都宮市が今年4月、それぞれ庁舎管理規則を改定し、翌月から市民ら来庁者による庁舎内での撮影、録音、録画、放送を禁止した。今後も足利市が11月からの禁止を予定している他、カスハラ撲滅を宣言した鹿沼市などが検討に入っている。 各市が禁止理由として挙げるのが、対応する職員や居合わせた来庁者のプライバシーや肖像権の保護など
連合の芳野友子会長は28日の記者会見で、立憲民主党が共産党の候補者と競合する選挙区を抱えながら躍進した衆院選の結果について、「共産党と共闘しなくても勝てることが明らかになった」との認識を示した。 共産は、立憲の野田佳彦代表が安全保障関連法の継続を示唆したことに反発し、立憲候補のいる選挙区も含めて213人の独自候補を擁立した。芳野氏は「共産党と候補者調整をしたり、共に闘ったりした(過去の選挙の)結果を見ると、共闘しなくてもやはり勝てる」と指摘。「連合としては共産党との関係(解消)の考え方を立憲に説明し、理解をいただいている中での今回の結果だ。それはもう明らかになったのではないか」と語った。 これに対し、共産の田村智子委員長は会見で「連合会長の発言は承知していない」とした上で、党機関紙「赤旗」が自民党の裏金疑惑を掘り起こしてきたことを強調。「共産党がこの問題を訴え、自公過半数割れという状況を作
東京都立高校3年の秀島知永子さん。授業の担当教員が何度も代わり、教員不足を実感した=東京都中央区で2024年10月17日、三浦研吾撮影 公立学校で、本当に大丈夫なのか――。 そんな不信感のようなものが今、首都圏の中高生の間にじわじわと広がっている。背景にあるのが、教員の不足や働き過ぎの問題だ。子どもたちは、自分たちへの対応がおざなりにされているのではないかと疑いの目を向ける。 27日投開票の衆院選で、各党は「教員の待遇改善」などを掲げるが、子どもたちは何を思うのか。2人の中高生の現実から、求められる対策を探る。 また交代? 1年で4人の英語教員 東京都立晴海総合高校3年の秀島知永子(ちえこ)さん(18)は、高1の秋のことを今も思い出す。 英語の授業で、初めて見る教員がやってきた。入学当初から教わってきた女性教諭が産休に入る前の引き継ぎだった。 ところが、それから年明けまでの間に、担当教員は
米国の富豪で実業家のイーロン・マスク氏は19日、11月5日の大統領選で最も激戦になっている東部ペンシルベニア州で「言論の自由と銃所持の権利」を支持する署名活動に賛同した登録有権者の中から「毎日1人に100万ドル(約1億5000万円)を授与する」と発表した。自身が支援する共和党のトランプ前大統領を側面支援する狙いがあるが、巨額の「報奨金」をエサに有権者を誘う脱法的な手法には批判も出ている。 マスク氏は自身が設立した政治活動委員会(PAC)「アメリカ」を通じて、今月上旬に署名活動を開始した。激戦7州で署名者を紹介した人には47ドル(約7000円)の謝礼を支払うキャンペーンを展開。17日にはペンシルベニア州に限って謝礼を100ドル(約1万5000円)に増額したが、今回はさらに桁外れの報奨金を用意した。「当選者」はランダムに選ばれるとしており、19日にマスク氏が参加した集会で初回の当選者の男性を発
記者会見で3号廃止の意義を語る連合の芳野友子会長=東京都千代田区で2024年10月18日、宇多川はるか撮影 労働組合の中央組織・連合は18日の中央執行委員会(中執)で、年末にまとまる公的年金制度改革に関連し、「第3号被保険者制度(3号)」の廃止を提起する方針を確認した。3号は会社員らに扶養される専業主婦らが年金保険料を納付しなくても老後の基礎年金を受給できる仕組み。連合として正式に廃止を求める考えを打ち出したのは初めて。 3号は、厚生年金に加入する会社員や公務員らの配偶者で、年収130万円未満の人が対象。約700万人の3号のうち98%は女性。もともとはサラリーマン世帯の専業主婦も自分名義の年金権を確保できるよう、1985年に導入された。だが、家族の形態や働き方が多様化し、人手不足が加速する中、近年は働き控えを招く「年収の壁」の温床になっているとの批判もあった。 連合の廃止案は、まずは将来的
水戸市選挙管理委員会では、郵便による不在者投票の対象者への案内文書の発送作業などに追われている=市役所で2024年10月3日、鈴木敬子撮影 衆院選が27日投開票となったことで、同日に「第9回水戸黄門漫遊マラソン」を開催する水戸市が対応に追われている。約1万人が参加するビッグイベントで日中は長時間にわたり大規模な交通規制が行われるため、投票に混乱が生じかねない。首相就任から投開票まで戦後最短で行われる衆院選。市選挙管理委員会は事前準備に人手がかかるため、市職員OBに手伝いを依頼した。短期間の選挙事務とマラソン大会が重なり、市は慌ただしく準備を進めている。【鈴木敬子】 市選管は3日、郵便による不在者投票の対象者への案内文書の発送作業や、期日前投票所で職員が使用する腕章など道具類の確認を進めた。 マラソン大会は、市中心部をスタート・ゴールとする市内コースで実施される。それに伴い午前7時~午後3時
毎日新聞は28、29の両日、全国世論調査を実施した。27日の自民党総裁選で新総裁に選出され、10月1日召集の臨時国会で首相に就任予定の石破茂氏に「期待する」と答えた人は52%。「期待しない」の30%を大幅に上回った。自民党支持率は33%で、8月24、25日実施の前回調査(29%)から4ポイント上昇した。 歴代執行部に直言を続け、「党内野党」などと呼ばれてきた石破氏は、各種世論調査の「次の首相にふさわしい人」ランキングでしばしばトップになってきた。自民支持率は派閥の政治資金パーティー裏金事件を背景に低迷が続いていたが、石破氏による政治改革への期待感が自民支持率を押し上げた可能性がある。 石破氏に「期待する」と答えた人は、…
近年、一人っ子が増加している。国立社会保障・人口問題研究所が2021年に実施した「出生動向基本調査」によると、子どもを産み終えたとみられる夫婦(結婚から15~19年が経過)の子どもが1人の割合は、19・7%だった。1980年代から02年までは10%程度で推移してきたが、05年に11・7%へと微増。その後、10年は15・9%、15年は18・5%と増加し、約20年で1割から2割へと急増したことになる。 夫婦の子どもの人数別では、2人(50・8%)が最も多く、1人(19・7%)はそれに次ぎ、3人(18・6%)と0人(7・7%)、4人以上(3・2%)を上回った。かつては2人、3人、1人の順で多かったが、15年から2人、1人、3人の順となった。比較的珍しかった一人っ子はそうではなくなっている。
パワーハラスメントなどの疑惑について追及を受ける兵庫県の斎藤元彦知事(46)は30日、県議会の調査特別委員会(百条委)の証人尋問で、大声で職員を叱責したとの指摘について「いま思えば申し訳なかった」としつつも、あくまで指導としての正当性を主張した。一方、叱責された職員は「必要な範囲の指導とは思えない」と証言した。 宣誓した後、証人席に着いた知事は、委員からの質問に淡々と答えた。元県西播磨県民局長の男性(7月に死亡)が作成した告発文の存在を把握した時の心境について、「どうして一緒に(仕事を)してきた人が(文書を)まいたんだろう、悔しい……」と口にし、「つらい、悲しい思いがあった」と言い直した。こうした思いが、3月の定例記者会見で文書について「うそ八百」と非難したことにつながったと説明した。元局長は5月に停職3カ月の懲戒処分を受けている。
マイナンバーカード裏面のICチップには氏名、住所、生年月日などの情報が記録されている=東京都千代田区で2024年7月26日午後6時34分、和田憲二撮影(画像の一部を加工しています) 携帯電話の契約や銀行口座の開設時に必要な本人確認について、政府はマイナンバーカードに搭載されたICチップ情報の読み取りを原則義務化する。本人を装った犯罪行為を防ぐ狙いだ。開始時期は未定だが、SNS(ネット交流サービス)上では「カード取得の強制だ」などと批判が噴出。強引な進め方に、専門家も疑問を投げかける。 募る不信感 「携帯の機種変更ができないんじゃ、嫌でも作らないといけないのかな」。熊本県に住む70代の女性はため息をつく。マイナンバーカードも運転免許証も持っていない。これまで携帯ショップでの本人確認には、健康保険証と公共料金の領収書を示してきた。 マイナンバーカードは誤登録などの問題が相次ぎ、女性は不信感を募
東京大で数学博士を取得した島田了輔さん。香港からオンライン取材に応じた=2024年6月26日撮影(スクリーンショットより) 生活保護世帯から東京大に現役合格し、史上初という「文系から数学科」への進級を経て、数学の博士号を取得した。そんな経歴を持つ20代の研究者の目に、国公立大の学費引き上げを巡る議論はどう映っているのだろう。値上げの是非を問うと、返ってきたのは意外にも「条件付きで賛成」だった。 「給食だけがまともな食事」 「移住の手続きは落ち着きましたが、早速研究で忙しくて」 香港大博士研究員の島田了輔さん(27)は、3月に東大大学院数理科学研究科で博士号を取得した後、2カ月間の特任研究員のポストを経て、5月に香港大の博士研究員に就いたばかり。6月下旬、オンライン取材で近況を明かしつつ、生い立ちから国立大の学費まで語ってくれた。 島田さんは高知県生まれ。覚えている限り、家庭はずっと貧しかっ
深刻な人手不足が続くITエンジニア。人材派遣会社ヒューマンリソシアが世界各国のITエンジニアの平均年収(2023年)を集計したところ、日本は3万6061ドル(23年の平均レート換算で約507万円)だった。データが取得できた72カ国中26位。米国の半分以下で、中国よりも安い水準だった。 トップはスイスの10万2839ドルで、日本の2・8倍。2位の米国は9万2378ドルだった。24位の中国は3万6574ドルで、日本をわずかながら上回った。各国の年収をドル換算して集計したため円安も影響している。しかし、現地通貨で比較した場合でも、日本は円建てで前年比0・4%増とほぼ横ばいだったのに対し、米国は3・6%増、ドイツはユーロ建てで2・6%増。日本の伸び率は、主要7カ国(G7)の中で最低だった。 日本国内のITエンジニア不足は深刻で、帝国データバンクが4月時点で行った調査では、「正社員が不足している」と
2023年に開かれた国民体育大会(かごしま国体)の総合開会式で入場行進する選手団=鹿児島市の鴨池陸上競技場で同年10月7日午後3時47分、平川義之撮影 戦後の混乱期に始まり、今年で78回目となる国民スポーツ大会(旧国民体育大会、国スポ)が岐路を迎えている。全体の9割近くにあたる42都府県知事が何らかの見直しの必要性を指摘した毎日新聞のアンケート結果からは、スポーツ振興という大会の意義を認めつつも、負担軽減や時代に合った形への変革を求める各知事の意向が鮮明に表れた。スポーツの祭典はどうあるべきなのか。 「大きなイベントを生かすも殺すも都道府県次第」。国民スポーツ大会と改称後初めての本大会開催を10月に控える佐賀県の山口祥義知事は、4月26日の記者会見でそう述べた。佐賀大会では、観戦の楽しみを広げようとナイトゲームや競技ごとの最優秀選手(MVP)の表彰制度を始める。「漫然と同じ形ではなく新しい
大学の在り方について意見を交わした中央教育審議会の特別部会=2024年4月26日午後、オンライン会議システムの画面より 国立大の学費を年間150万円に――。文部科学相の諮問機関、中央教育審議会(中教審)での伊藤公平・慶応義塾長の発言が波紋を呼んでいる。国立大の学費を現在の標準額の53万5800円から約3倍に引き上げてはどうかという提案で、学費の高い私立大と国公立大の「公平な競争環境を整える」ことが目的という。実現すれば家計や学生の進路選択にも大きく影響するが、その真意はどこにあるのか。 「地方大つぶれる」「減免セットで」国立大学費値上げ提言に賛否 発端は今年3月、大学の在り方を議論する中教審の特別部会で伊藤氏が提出した資料にある。「国公私立大の設置形態に関わらず、大学教育の質を上げるためには公平な競争環境を整えることが必要」とあり、そのための方策として国立大の学費を150万円程度にすること
増田寛也・元総務相らによる人口戦略会議が公表した「消滅可能性都市」。10年前、この衝撃的な呼び名が全国を駆け巡った後、安倍政権は「地方創生」に乗り出した。前鳥取県知事で「改革派知事」として知られ、増田氏と同じく総務相を経験した片山善博氏は、消滅可能性都市を打ち出した当初の狙いは「外れた」と振り返る。 ――10年前、「消滅可能性都市」というショッキングな発表を、どのように受け止めましたか。 ◆「皆さんこのままだと消滅しますよ」とガーンとたたいておいて、自治体に危機感を抱かせようとしているのは分かりました。ただ、そのメッセージの使われ方は、打ち出した当事者(日本創成会議)の狙いを外れましたよね。 当事者たちの狙いは、実は消滅可能性都市リスト打ち出し後の、第2弾の方だったと聞いています。彼らは、リスト公表の後「東京圏高齢化危機回避戦略」と題する提言をまとめています。首都圏で高齢者が介護施設などを
新年度が始まって10日あまり。街を歩けば、真新しいスーツを着た新入社員の姿がまぶしく映る。しかし、本人に代わって企業側と交渉する「退職代行」サービスの現場では、すでに新卒者からの依頼が相次いでいる。「入社前と話が違うのですが……」。多くはそう切り出すという。 「あんな会社とは話できない」 各地で入社式が行われた1日、東京都大田区の「アルバトロス」が運営する「退職代行モームリ」の電話に、さっそく新入社員からの依頼が舞い込んだ。「あんな会社とはもう話ができません。退職代行をお願いします」。美容関係の企業に就職したという20代女性の声は怒りで震えていた。 女性は入社前、髪の色は自由だと聞かされていたが、入社式直前に黒に染めるよう指示された。拒否すると、入社式に出席させてもらえなかった。そのままモームリに電話をかけて退職の手続きを進めてもらい、今は新しい就職先を探しているという。
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