流体力学専門家のラジャット・ミッタル氏は過去10年にわたり、人の喉頭が音声を発生させる仕組みや、血流に関わる物理特性を研究してきた。今は新たな科学分野の探求に没頭している。水分の飛沫が新型コロナウイルスを人から人へ感染させる仕組みを解明することだ。 「この研究は、私がこれまでずっと研究者として学んできたすべての事柄と交わるようだ」と同氏は話す。 致死率の高いパンデミック(感染症の世界的大流行)への対応にかかわるとは夢にも思っていなかった研究者たちが、新型コロナウイルス感染症の解明と封じ込めを目指す世界的な取り組みに自身の専門知識を振り向けている。ウイルス学者や疫学者が新型コロナと感染症そのものの研究に集中しているのに対し、他の専門家らは、世界各国の政府が瀕死(ひんし)の経済を復活させるため日常生活の規制緩和に動く中で、社会をいかに管理するかという重要な問題に注力している。 ...