『税という社会の仕組み』を刊行した京都大大学院教授の諸富徹さん。「納税は権利」と語る=京都市左京区で2024年7月11日、川平愛撮影 「#確定申告ボイコット」「#納税拒否」。昨冬に自民党派閥の裏金事件が表面化してから、SNS(ネット交流サービス)にこんな書き込みが相次いだ。議員に還流したカネが非課税だったため、怒りの声が上がったのだ。 うんざりした気持ちの背景に「税金は払いたくない。『義務』だから納めている」という意識がないだろうか。 だが「納税は『権利』です」と京都大大学院教授で経済学者の諸富徹さん(55)は言う。どういうことか。新著『税という社会の仕組み』(ちくまプリマー新書)で税とは何か、歴史や思想から問い直した諸富さんに聞いた。 市民は「従」で、政府は「主」? 納税は実際、憲法で「勤労」「教育」と並ぶ国民の三大義務として規定されている。「江戸時代の『年貢を納める』という言葉からも連