「冷たい光」② 緑の蛍光タンパク質GFP・日本人がクラゲから発見 生命科学の飛躍的な進展に欠かせない道具となった蛍光タンパク質GFP。このタンパク質を発見したのは、米国在住の下村脩・元米ウッズホール海洋生物学研究所上席研究員だ。 下村さんは一九六〇年、三十二歳で渡米しオワンクラゲの発光を研究した。当時、生物の発光には、ホタルのように発光物質と酵素の組み合わせが必要だと考えられていた。しかしオワンクラゲには、その組み合わせが見つからない。 下村さんは約一万匹のクラゲを集めて発光物質を抽出し、六一年に自らが発光する特異なタンパク質イクオリンを発見。イクオリンの精製中にGFPも見つけた。「GFPは化学的研究ができないほどに微量だったが、異常に強い緑の蛍光を示した」と振り返る。 オワンクラゲは緑に光るが、イクオリンの発光は青。下村さんはGFPの化学構造を解き、GFPがイクオリンから発光のエネルギー