「芸術至上主義」という批判に思うこと。 正直な所、この手の批判に接すると、大半が的外れな主張ばかりなのでウンザリさせられます。そもそも「芸術至上主義」という言葉が、マルクス主義文学界における「慣用語」であることが承知されていないだけでなく。「芸術の為の芸術」というモダン・アートのありようを、「個人主義」的で、社会貢献を無視したものと見なす「芸術至上主義」という批判が、20世紀に於いて、一体、どれ程、あったのかが、全く考慮されていないことには驚かされます。 では、歴史的に「芸術至上主義」という批判が、どうあったのかといえば、まず、前記したように社会変革を無視した作家の「個人主義」なあり方に対しての批判として、「芸術至上主義」という批判が、マルクス主義者たちから上がる訳なのですが。 ここで注目するべきは、ほぼ同じ理由で(社会貢献がないということで)、軍部からも「芸術至上主義」という批判が向けら