サブタイトルに「古代DNAが語るホモ・サピエンスの「大いなる旅」」とある通り、古代DNA研究をまとめた本となる(その意味では「人類の起源」の話ではなく「人類の拡散」の話といった方が正確か)。 類書としてデイヴィッド・ライク『交雑する人類』(日向やよい訳) - logical cypher scape2があり、扱っている内容は重なっているが、違いも大きい。 『交雑する人類』は、人種差別、性差別に関わることについてもかなり言及があるが、本書にはそうした言及は少ない(人種について終章にまとめて少し書いてある)。 本書は、新書という性質上、ページ数も少なく記述の分量が少ないが、逆にそれゆえに『交雑する人類』よりも分かりやすいかもしれない。まあ、既に自分が『交雑する人類』を読んでいたので、分かりやすかった可能性もあるが(例えば、ヤムナヤの説明については本書の方が分かりやすかった気がするが、既にヤムナ