人の印象を決める要素として「声」の存在はとても大きい。 私はラジオ出身のアナウンサー。声一つで、遠近、親疎、喜怒哀楽、姿かたち、事件の詳細、試合の展開…。あらゆる状況を伝える訓練を徹底的に受けた。しゃべりの調子や高低、トーン、スピード、間(ま)。音声表現だけで、聞き手の心を揺さぶり、聞き手の頭に映像を描き出す描写力を鍛えられた。 これらのテクニックは、ビジネスパーソンが仕事で「武器」として使えるものばかりである。この「武器」の肝は、「声」そのものである。私が最近になって「声力(コエヂカラ)」と呼んでいるものである。 どんなテクニックを駆使しても、声力が貧弱だとダメだ。信頼感や説得力、表現力のすべては声力に負うところが大なのである。 「声」がない… かつて某テレビ番組で「誰々を何々にしよう!」というようなコンセプトのコーナーがあった。私はたまたま「主婦をラジオDJにしよう!」という企画に講師
夏の欧州は非常に過ごしやすい。あまり暑くもなく、湿気もなく、日本の夏とは正反対である。だが、筆者は夏休みを欧州で過ごした経験がほとんどなく、島国に滞在することが多い。 これまで世界中の島を訪ねた中で、カリブ海では最初に訪れたのが、蘭領シントマールテンという島だった。このシントマールテン島は南半分がフランス領(仏領サンマルタン)、北半分はオランダ領となっており、その境界線を越えると雰囲気がガラっと変わる。多くの島を抱える国土に住む日本人にとって島は身近な存在だが、シントマールテン島のような島はイメージしにくいのではなかろうか。 このシントマールテン島やキュラサオ島(ベネズエラ沖にある島で、キュラソーというリキュールで有名)をはじめ5島は、併せて「蘭領アンティル」と呼ばれている。そのアンティルが今後解体される可能性がある。 Xデーは当初、2008年12月15日とされていた。その日を境に、シント
NEXT BIG THING! ベンチャーキャピタリストはIT(情報技術)、バイオの“次に来る巨大潮流”を追い求めている。本稿ではNEXT BIG THING「クリーンテック分野」の投資で先行する海外(主に米国)事例を拙訳書『クリーンテック革命』(ファーストプレス)に触れながら紹介する。さらに、この分野はわが国にも先進的な事例がある。ニッポンの事例とニッポンの投資実務家の思いも語ろう。 バイオ燃料に対する風当たりが強い。 6月5日に出された国連食料サミット宣言で、バイオ燃料推進派の米国やブラジルは「バイオ燃料が食料危機に与える影響は小さい」というくだりを盛り込もうとしたが、途上国を中心にバイオ燃料普及に伴うトウモロコシなどの価格高騰に対する批判が強すぎた。結果、妥協の産物として「今後も国連食糧農業機関(FAO)などを中心に食料価格への影響を研究し、各国が対話を継続する」という表現に落ち着い
日本の電子政府は北朝鮮以下──そんな衝撃的な調査を米ブラウン大学がまとめた。1980年代に世界を席巻した日本が、なぜ停滞しているのか。 経済学者の野口悠紀雄は「ITは日本にとって不利な技術変化だ」と断言する。下克上を生むITは、本質的に日本の社会構造にそぐわないのだろうか? ここでは近著「ジェネラルパーパス・テクノロジー」(アスキー新書)で同氏が展開している議論を紹介しながら、さまよう日本政府や企業の行く末について考える。 野口 日本経済の状況は、かなり深刻です。昨年の夏から、株価も大きく下落しています。長期的にみても、1990年代以降、日本の経済はまったく状況が良くない。その原因としてさまざまなことが言われていますが、技術の問題、とくにITの問題が大変重要だと思います。簡単にいえば、ITという新しい技術体系に日本の社会全体が対応していないということです。そうしたことを以前から考えていまし
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