雨 滴 堂 @Utekido ヤングケアラーとしてのわたしは、家族の孕む課題についての指摘も説明もできかねた。血を分けた肉親の介護の責務の一端を、自分が担わなくてもいいなどと放言できるほど冷淡でもなかった。さりとて全人生を捧げるほどの肉親愛も持ち合わせていなかった。暗黙的に酷使され、時間ばかりがただ過ぎた。 雨 滴 堂 @Utekido 立てない・歩けないお姉ちゃんのために、車椅子を押すのは嫌ではなかった。自分より大きな、力の入らない彼女に、寝返りを打たせ、お風呂に入れるのも嫌ではなかった。歯を食いしばって集中すればうまくやれた。問題は姉の心のケアまで子どもだったわたしに全任されたことだった。 雨 滴 堂 @Utekido 雪で遊びたい、海を見てみたい、遊園地で遊びたい、キャンプしてみたい。誰もが抱く程度の願望に、親は「そのうちね。歩けるようになったらね」とだけ返答し、一度も正対しなかった