総務省の調査によると、初めて家計の支出でパンがコメを上回った。この逆転現象は何が原因なのか。1998年から家庭の食卓調査を行っている岩村暢子氏がその背景を探る。 2011年の総務省「家計調査」の結果、日本の一般家庭におけるパンの消費額がコメを上回ったと話題になっている。1世帯(2人以上世帯、農林漁家世帯除く)あたりのコメに対する年間支出額2万7428円に対し、パンは2万8318円と、逆転したのである。これは昭和21年(1946年)に始まる「家計調査」史上、初めての事であった。 「コメ離れ」の歴史的理由 長い間コメを主食としてきた日本人の「コメ離れ」は、実は何年も前から話題となっていた。だが、このようなはっきりとした数字に表れるようになった背景には、いくつかの理由が考えられる。 まず歴史的に見ると、子供のころから「パン食」になじんで育った世代が、人口の大半を占めるようになったという事実がある