「悪党たちの大英帝国」 (著・君塚直隆 新潮選書) どのような強国も、突然出現するわけではありません。制度の整備、巧みな戦略、恫喝的な軍事力などで周辺の国を懐柔し、時には支配下に置き、時には滅亡させ、そして巨大化するのです。 本書は、ヨ-ロッパ大陸と海峡を隔てた小さな島国であるイギリスを、大英帝国として発展させる強い牽引力となった7人の悪党たちを取り上げています。 その7人の悪党たちとは、ヘンリ8世、クロムウェル、ウィリアム3世、ジョ-ジ3世、パーマストン子爵、ロイド・ジョ-ジ、チャ-チルです。 本書では、1人に1章を充てて、それぞれの冒頭に、資料から引き出した悪党ぶりを象徴する言葉が置かれます。そして、その悪党が何を成し、困難な時代にいかなる手段によって国を発展させたかが、膨大な専門的資料をもとに、私たちに興味深く楽しく読める文章と構成で語られていきます。 例えば、悪名の高いヘンリ8世の