【ソウル=稲田清英】韓国で今年前半に予定されていた10万ウォン(約7千円)札の発行が中止に追い込まれた。政府は「高額紙幣が物価上昇を招く懸念がある」などと説明しているが、図案や肖像の人選などを巡る論争が絶えず、こちらが真の原因との見方が根強い。 発行は盧武鉉(ノ・ムヒョン)前政権時代の06年12月に決まったが、現政権が昨年末に「無期延期」の方針を決定。韓国銀行(中央銀行)が22日、中止を正式に発表した。 現在は73年に発行が始まった1万ウォン(約700円)札が最高だが、10万ウォン札の発行決定は物価上昇で不便が高まったのが理由とされた。肖像に日本の植民地時代の独立運動家金九(キム・グ)を採用することも決まり、準備は進んでいた。 だが、図案に使う古地図に日本と領有権を争っている竹島(韓国名・独島)が載っていないことが問題化し、昨年秋に作業が中断。日本の敗戦後に南北統一政府の樹立を主張し