◇復興財源に外貨準備を活用せよ ◇根津利三郎(ねづ・りさぶろう=富士通総研経済研究所エグゼクティブ・フェロー) 東日本大震災からの復興財源をめぐって増税か国債発行かという路線対立にはまり込んでいるが、一刻も早く被災者の苦労を和らげ、日本経済を速やかな回復軌道に乗せるために、まずは日本政府が積み上げた巨額の外貨準備の取り崩しで対応すべきではないか。 これから震災で失われたインフラや仮設住宅の建設、放射能被害に対する補償などのために緊急に5兆円を超える財源が必要だという。復興のために特別国債を発行する案も提案されているが、結局は国の負債になることについては変わりない。 まず考えるべきは、国が保有する外貨準備の取り崩しだ。現在、日本の外貨準備は約90兆円に達しており、これは中国についで世界第2位だ(図1、2)。5兆、10兆円の取り崩しは円に対する国際的信用にそれほど大きな影響があるとは思われない