トヨタ自動車の豊田章男社長が出席した米下院の公聴会は、いささか趣味の悪い見せ物だった。議員たちは具体的な材料もなしに、攻撃的な言葉によって選挙区にアピールしようとしているように見えた。世論調査では「豊田社長は誠実に説明した」という感想が過半数を占め、トヨタは最大の危機を乗り切ったようだ。 印象的だったのは、公聴会のあと、ディーラーや従業員との会合で豊田社長が「公聴会で私は1人ではなかった。あなた方と一緒だった」とあいさつし、声を詰まらせたことだ。これに1997年に山一証券が廃業したとき、当時の野沢正平社長が「社員は悪くないんです。私らが悪いんです」と号泣した場面を重ね合わせたのは、私だけだろうか。 もちろんトヨタは山一とは違う。実態は破綻していた山一とは違って、トヨタは世界一の自動車メーカーである。最近は北米市場の不調で売り上げが大幅に減少したが、ライバルのGM(ゼネラル・モーターズ)に比
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