前回は、政策・行政で注目されている行動経済学における「ナッジ(Nudge)」とインサイトの関係性を説明した。今回は、経済産業省と特許庁が発表した「『デザイン経営』宣言」に着目し、インサイトとの関連を明らかにしつつ、インサイトを探る方法論の観点から、その内容に関する評価と課題を明らかにする。 インサイト視点で「デザイン経営宣言」を読んでみる ビジネスプロセスの中にどのようにインサイトを組み込んでいくか、インサイトフルな組織をどのように構築し運営していくか、という課題。この課題に、解を見出していない企業、あるいは取り組みが始まっても十分に活用しきれていない企業が、日本ではまだまだ多い。そして、企業全体ではなく、一部のセクションが主導し啓蒙を行っている段階、という企業も多く見受けられる。 経済政策を主導する政府や官庁もインサイトの領域はほとんど意識されておらず、十分な目配りはできていない、と著者