2年前にWS大に来て初めての学期に学部向けの統計入門コースを教えたのだが、 この時、光っていた学生の一人にビクター君という学生がいた。 彼は顔の右半分が大きく変形して硬直しており、 目も一つしかないし歯も半分以下しかない。 だから、話す時もどもってしまってゆっくりしか話せない。 しかし、とても人懐っこい子で、授業が終わった後にいつも質問に来るし、 最後まで残って色々話しかけて来る子だった。 「僕はナイジェリアで生まれんだけど中学生の時にアメリカに来たんだ」 「将来は医師になりたいから、このクラスでもAを取らなきゃいけない」 「学費で借金がたくさんできて大変だ」 「車をぶつけてしまって、今週からバスで通うことになった」 と毎回のようにいろいろ私に話をして帰った。 彼は学期の前半にあった中間試験で平均以下の点を取ってしまい、 理解度もあまり高くないようだったので、成績の話は話半分に聞いていた。