(前回からの続き) (フィナンシャル・タイムズ 2012年3月9日初出 翻訳gooニュース) ミュア・ディッキー東京支局長 義忠さんは茶髪で、バイクが好きで、最新の電子製品が大好きだ。その義忠さんは墓の前でひざまずき、数本の線香に火をつけた。はっきりした香りは、私のマスク越しにも伝わってくる。義忠さんはビン入りの緑茶を墓石に注ぎ、手を合わせて祈りを捧げた。このとき、私の線量計のゲージは25マイクロシーベルト毎時に下がり、信号音は前ほど切迫していない。けれどもテレビのリポーターはまだ緊張していて、「ここは危険です。あまり長居しない方がいい」と鵜沼さんたちに忠告していた。 いったいどれくらい危険なのか、激しい議論になっている。放射能の危険性をバカバカしいほど誇張するのは科学への無知と原発に対するパラノイアのせいだという意見がある一方で、それは原発利権のために危険性をひどく過小評価しているに過ぎ