筆者が中国に駐在していたときのエピソードである。大きさ約30cmの枠状のプラスチック部品の金型が完成し、その金型で製作した最初の部品が筆者の手元に届いた。その部品を確認したところ、わずかではあるが全体的に反っていたため、その修正が必要であった。筆者はすぐさま、この部品の成形メーカーの営業兼日本語通訳である黄さんに電話をして、反りの件を伝えた。そのときの会話は以下のようなものであった(図1)。 会話がこれ以上進まないことをお互いに理解したため、車で20分ほどの距離にある筆者のいる会社に黄さんが来て、現物を見ながら話すことになった。筆者が反っているサンプルを黄さんと一緒に見ながら話をしたところ、用件はすぐに伝わり修正をしてもらう流れとなった。 黄さんは若い頃、日本に10年弱住んでいたことがあり、日本語レベルは高い方であった。しかしながら、彼は「反り」という言葉を知らなかったのだ。筆者にとって、