“変形デジカメ”と称されるカシオ計算機の「EXILIM EX-TR100」。誕生のきっかけは、あるデザイナーの悩み。デザイナーと技術者が互いの思いをぶつけ合いながら一つの製品を生み出すプロセスは、新製品開発の参考になる。全6回の開発物語の第1回である。 デザインが固まって、いよいよ製品化に向けて動きだした“変形デジカメ”。デザイナーの長山は着々と外堀を埋めて味方を増やしていった。順調に開発が進むかと思われたが、商品企画の小野田との攻防が待ち受けていた―― 「こんなのどうでしょう?」 2009年3月。長山洋介(現・カシオ計算機 デザインセンター プロダクトデザイン部 第一デザイン室 室長)は作り上げたデザイン・モックを片手に、熱弁を振るっていた。年に2回、カシオ計算機のデザイン部門が開催するデザイン・コンペの壇上である。カメラの持ち手として可動式フレームを取り付けたデザインや機能について、丁