愛知県蒲郡市が約10年前に実施した職員採用試験を巡って、女性受験者らを不正に減点する操作があったと市の公益通報制度に基づく通報があり、市が調査委員会を設置したことが14日、複数の市関係者への取材で判明した。通報では、当時の稲葉正吉市長(72)が男性の採用を優先するよう指示したと指摘されているというが、稲葉氏は取材に「指示はしていない」と否定している。 関係者によると、通報は、2013~14年ごろに実施された採用試験の一部で、女性や市外居住の受験者の点数を引き下げる操作があったと訴える内容だという。操作には複数の職員が関わったといい、その一人とされた市幹部は取材に対し、「自分の立場からは何も言えない。10年前のことで記憶も薄れている」と話した。 また通報では、当時市長だった稲葉氏が女性の出産に伴って欠員が生じることなどを懸念し、市内の男性を優先的に採用するよう担当者に指示したと指摘されている
立ち仕事に椅子を設置する義務について企業などへの周知を求めた茂木楓さん(右)=東京都千代田区の衆院議員会館で2024年5月24日午後2時16分、奥山はるな撮影 スーパーマーケットのレジ打ちなどで「立ったままの接客」を強いられていることについて、厚生労働省は24日、事業者にヒアリングをして実態把握に乗り出すことを明らかにした。 厚労省の労働安全衛生規則では、労働者が就業中にしばしば座れる機会がある時、休息のための椅子を置くよう事業者に義務づけている。しかしスーパーなどの接客業では、労働者が椅子の設置を求めても「座ることを許可していない」などの理由で事業者側が拒否するケースがある。座ったままのレジ打ちは海外では一般的だが、日本では普及していない。 労働組合「首都圏学生ユニオン」の有志らでつくる「座ってちゃダメですかプロジェクト」がこの日、厚労省に対し、規則を事業者に周知するなどして改善するよう
緑の甲羅のような体が特徴的なチャバネアオカメムシ。2024年は全国各地でカメムシが大量発生している=フマキラー提供 カメの甲羅のような小さくて硬い体から、強烈な悪臭を放つ――。そんな迷惑なカメムシが各地で大量発生している。果物などの農作物への被害を警戒し、「注意報」を出した自治体は2024年は30都府県に上り、5月末時点では過去10年で最多。大量発生の原因は、前年のスギやヒノキの花粉飛散と関係があると専門家はみている。 今回大量に発生しているのは、チャバネアオカメムシ、ツヤアオカメムシ、クサギカメムシなど。いずれも「果樹カメムシ類」の仲間で、リンゴやナシ、モモなどの果汁を吸う。吸われた実は表面がでこぼこになるなどして商品価値が失われる。
一方、受け入れた赤ちゃんの母親に危険な孤立出産のケースが後を絶たないという。「遺棄や殺人に至った状況と似ており、一歩間違えば事件につながった可能性もある」と危機感を強める。このため慈恵病院では、病院以外に身元を明かさずに産める「内密出産」のシステムを21年12月に開始したが自宅出産して連れてくるケースは変わらず発生しているという。 出自情報の開示「混乱が始まっている」 17年前に預かった赤ちゃんは17歳になることなどから、本人への出自情報の開示をどうするかが問題として浮上。養育者が本人にどう説明するか、制度として整備されていないことから「混乱が始まっている」という。 出自情報は子どもにとってネガティブな内容の場合もある。慈恵病院と熊本市は専門家による検討会を共同設置して議論を進めており、24年内に報告書をまとめるという。蓮田氏は「どう対応するか答えを持ち合わせていない。検討会の方々にも力添
前橋市に本店がある第二地銀・東和銀行の男性行員(当時25歳)が自殺し、労災と認定されていたことが関係者への取材で判明した。配置転換に伴う未経験業務への重圧に加え、上司のパワハラによる複合的な要因で、精神的に追い込まれた過労状態だったと判断された。男性は異動後わずか2カ月で命を絶っており、遺族は銀行側に損害賠償を求める方針だ。 男性は大学卒業後の2014年春に入行し、個人事業主らを対象にする個人向け営業担当などを経験。入行4年目の17年4月、川越支店(埼玉県川越市)に異動し、初めて法人向けの営業担当となった。 5月31日、顧客と面会する予定があったが、埼玉県内の自宅で倒れているのが見つかり、死亡が確認された。男性の自室からは「仕事で悩んでいました。誰にも相談できず、どうにもならなくなっていました」などとつづられたメモが見つかった。 男性の遺族や代理人弁護士によると、男性は川越支店への異動後、
入学式で式辞を述べる東京大の藤井輝夫学長=東京都千代田区の日本武道館で2024年4月12日午前10時42分、幾島健太郎撮影 東京大の入学式が12日、東京都千代田区の日本武道館で開かれた。藤井輝夫学長は式辞で、新入生の性別の偏りに触れ「さまざまな構造的差別は自然には解消されないので、私たちがそれを認識し、自省し、アクションを取る必要がある」と呼びかけた。 同大の今年度の新入生計3126人のうち、男性は2480人であるのに対し、女性は2割の646人だった。藤井学長は、政治や経済の分野で意思決定に関わる女性の数が圧倒的に不足しているとして「教育においても、女性の進学や理系受験を妨げるような障壁の存在が指摘されている」と言及。「構造的差別の再生産と拡大を断ち切り、あらゆる構成員が等しく権利を持つ社会を実現する責任がある。多様な人々が活躍することで、社会はより豊かなものになる」と述べた。
桐生市の生活保護費支給の問題点について報告する反貧困ネットワークぐんま事務局の町田茂さん=群馬県桐生市中央公民館で2024年4月4日、遠山和彦撮影 群馬県桐生市が生活保護費の支給で不適切な対応をしていた問題で、桐生市生活保護違法事件問題全国調査団(団長・井上英夫金沢大学名誉教授)は4日、同市内で報告会を開催した。受給者が市の窓口で相談員から「お前は税金で飯を食っている自覚があるのか」「生活保護は他の自治体で申請しろ」などと威圧的な対応をされた事例が新たに報告された。また、同市が警察OBを生活保護担当の部署に非常勤嘱託職員として採用し、専門外の就労支援に当たらせていたことも判明。調査団は5日、県や市などに改善を要望する。【遠山和彦】 会で報告した「反貧困ネットワークぐんま」の町田茂さんによると、1月にフリーダイヤルで同市の生活保護支給について情報を募ったところ、窓口で相談員に威圧的な態度で申
「6月いっぱいで産めなくなります」。妊娠が分かってまもなく、女性は産婦人科医から告げられた。女性が住む自治体で、お産できる場所がなくなることを意味していた。女性は転院し、妊婦健診のために車で往復2時間以上かける日々を繰り返した。全国で広がる産科ゼロの自治体。「里帰り出産」が死語になる日が、現実味を帯びている。 人口減少を背景に担い手不足が進み、公共セクターを中心に社会が行き詰まりの危機に直面する日本。コモン(公共)のあり方を考える企画「コモンエイジ」第2弾は住まいや医療、子ども、補助金行政などの課題を掘り下げます。 【関連記事】離島から消えゆく歯医者 薩摩半島の南端に位置する鹿児島県枕崎市。市内で暮らす女性(27)は2022年末、2人目の妊娠が分かった。自宅から10分ほどの距離にあり、お産が市内で唯一可能な産科医院「森産婦人科」で長男(2)と同様、出産を考えていた。 そんな中、23年1月の
参院政治倫理審査会で弁明する自民党の世耕弘成前参院幹事長=国会内で2024年3月14日午前10時17分、北山夏帆撮影 14日の参院政治倫理審査会で、自民党の世耕弘成前参院幹事長が、安倍派の政治資金パーティー裏金事件について説明した。日本維新の会の音喜多駿氏は、世耕氏側が1542万円の還流を受け、政治資金収支報告書に記載しなかったことについて、還流分を確定申告して納税すべきだとただした。だが、世耕氏は「すべて政治活動に使った」と重ねて強調。政治資金を政治活動に使い切った場合は非課税とされる原則を盾に取り、納税しない意向を示した。【大場伸也】 主なやり取りは以下の通り。 音喜多氏 裏金の納税について伺う。世耕氏の政治団体は収支報告書を大幅に訂正しているが、領収書が存在せず不明の項目がある。これでは現時点では政治資金ではなく、キックバックで受け取ったお金が個人の雑所得となる可能性も否定できない。
北海道恵庭市の遠藤牧場で数十年間、劣悪な環境で虐待されていたなどとして、知的障害のある60代の男性3人=いずれも道内在住=が、牧場経営者と市に計約9400万円の損害賠償を求めた訴訟の第3回口頭弁論が12日、札幌地裁(布施雄士裁判長)であった。牧場経営者の元市議会議長・遠藤昭雄氏(2020年2月に死去)の妻(85)と息子(57)が、訴訟で初めて自身の主張を具体的に記した書面を提出した。 書面は裁判所の質問状に回答する形で提出された。息子は回答書で「縁あって行くあてもない彼らを愛情を持って面倒を見てきた。反省しなければいけないところは真摯(しんし)に反省したい」と述べた。 労働環境や報酬についても回答した。「作業を行ったことの対価・報酬を与えることがあったか」との質問には「報酬としてはないが、お菓子やジュースを提供した」と回答。「原告らが週に何日、何時間作業を行っていたのか」には「週7日、午前
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の友好団体から2021年の衆院選で支援を受けたなどとして、立憲民主党が提出した盛山正仁文部科学相に対する不信任決議案が、20日の衆院本会議で否決された。盛山氏の問題をどう見るか。政治家と教団との関係を長年取材してきたジャーナリストの鈴木エイト氏に聞いた。 政府が23年10月に旧統一教会の解散命令を請求して以降、信者の間では岸田文雄首相に反発する声が出ています。12月には、岸田首相が過去に教団関係者と面会した際の写真の存在が明らかになりました。 これまで自民党の政治家との関係についての情報は教団本部が統制してきました。でも今は、岸田首相や周辺議員に関しての情報漏れは黙認している状況です。選挙支援の問題が新たに指摘された盛山氏も岸田派です。
警視庁公安部が経済産業省に提出した温度実験データのグラフ(上)と、毎日新聞が入手した実際のデータのグラフ(下)。提出分は測定温度が低かった折れ線1本が除外されていた。(提出に当たって調整されたため、測定箇所の名称や計測時間の目盛りが二つのグラフで異なる) 軍事転用可能な装置を不正輸出したとして外為法違反に問われた化学機械製造会社「大川原化工機(おおかわらかこうき)」(横浜市)の社長らの起訴が取り消された冤罪(えんざい)事件で、同社の噴霧乾燥器の温度実験を巡り、警視庁公安部が実験データを一部除外して経済産業省に報告していた疑いがあることが判明した。立件には、経産省から「輸出規制品に該当する」との見解を得る必要があったが、伏せたデータ分は輸出規制品の基準に達しておらず、公安部にとって不利な証拠だった。 大川原化工機側が起こした国家賠償訴訟で、2023年12月の東京地裁判決は公安部と東京地検が捜
橋が崩落したまま放置された川。パクソンさんが運転した車は手前から転落した=米南部ノースカロライナ州ヒッコリー市で2023年10月4日、大久保渉撮影 米国で、グーグルが提供する地図アプリ「グーグルマップ」の案内に従って車を運転していた男性が川に転落して死亡し、遺族がグーグルとその親会社を提訴した。無料で使えるグーグルマップは日常生活にすっかり浸透しており、記者も見知らぬ土地に出張した際などに頼りにしている。そんな便利なアプリがなぜ、悲劇を招いたのか。理由が知りたくて、男性が走ったルートを実際にたどってみた。 【写真】「死へのルート」昼と夜の落差 案内されたのは闇へと続く道 米南部ノースカロライナ州最大の都市シャーロット市から車で北に約1時間のヒッコリー市。森や小川の多い人口約4万人の小さな街だ。 この街に住む会社員、フィリップ・パクソンさん(当時47歳)は、2022年9月30日夜、車ごと川に
盛山正仁文部科学相は16日の閣議後記者会見で、2021年衆院選で世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の友好団体から支援を受けたと指摘されていることについて、盛山氏が23年10月に教団の解散命令を請求したことに対する反発ではないかと問われたのに対し、「(教団側が)揺さぶりをかけてきているということは十分考えられるのではないか」と述べた。 盛山氏は「ぽろぽろといろいろな情報が、(衆院)予算委員会のテレビ入りで行うタイミングで出ている」と指摘。林芳正官房長官が教団関係者と面会したことや、岸田文雄首相が教団友好団体の幹部と会ったと報じられたことも合わせ、教団側の「揺さぶり」との認識を示した。「もてあそばれている。そんなふうに感じている」とも語った。
埼玉県熊谷市内の民間企業が所有するビルについて、熊谷市が固定資産税と都市計画税を半世紀以上にわたって誤って過大に徴収していたことが8日、毎日新聞の取材で明らかになった。市は時効などにかからない2014~22年度の9カ年度分(計8350万円)を返還する方針で、返金額は利息を含め1億円規模になる見通し。だが、残り42カ年度分の数億円は企業側が泣き寝入りする格好になるという。 同市資産税課などによると、問題のビルは1971年に建設され、89年に一部増築された。完成時、市と県の熊谷県税事務所が合同で不動産の評価作業を行った。その際、使われた資材、設備、床面積などを誤認、さらに評価の補正も誤った結果、過大な不動産評価額に決めてしまったという。
盛山正仁文部科学相が6日、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の友好団体から2021年の衆院選で選挙支援を得ていたと事実上、認めた。22年に自民党が公表した旧統一教会との接点についての点検調査に対し、関連団体の会合で1度あいさつしたことは認めていたが、選挙支援は申告していなかった。岸田文雄首相は盛山氏を続投させる考えを示したが、今後教団側との接点が新たに判明した場合には、進退につながりかねない。野党は盛山氏の更迭を要求した。 首相、再調査に消極姿勢 首相は6日の衆院予算委員会で、盛山氏について「過去の関係いかんに関わらず、現在は当該団体との関係を一切有していないことを前提に任命している。引き続き職責を果たしてもらいたい」と述べた。 政府・与党は盛山氏の続投方針を容認する構えだ。ただ、首相は…
阿部守一知事(手前)から賞状を贈られるアルクマ(右端)。イヌナキン(左端)との差はわずか61票だった=長野市北長池のエムウェーブで2019年11月3日午後4時8分、錦織祐一撮影 全国のご当地キャラクターが集う「ゆるキャラグランプリ2019inしあわせ信州NAGANO」は3日、エムウェーブ(長野市北長池)で、事前のインターネット投票と来場者の投票を合算した最終順位が発表され、県のPRキャラクター「アルクマ」が悲願の優勝を果たした。 アルクマと、2位だった大阪府泉佐野市の「イヌナキン」との差はわずか61票。この結果が発表された会場は歓声に包まれ、県の担当者は「皆さんの応援のおかげです。台風19号でこの近くも被災し、明るいニュースが届けられてうれしい」と感涙を流した。 アルクマは2009年8月、大型観光企画「信州デスティネーションキャンペーン(DC)」を機に誕生した。翌年のキャンペーン終了後は引
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