ブックマーク / yamaguchijiro.com (44)

  • 希望格差社会の現実 | YamaguchiJiro.com

    社会学者の山田昌弘氏が希望格差社会というを出したのは4年前のことである。このを最初に読んだときには、ネーミングのうまさに感心したが、事態はそんな悠長な感想を述べる段階ではなくなった。 希望格差を放置するとどんな社会が出現するのか、最近の若者による無差別殺人事件が教えている。犯罪を正当化するつもりは毛頭ないが、自分には希望があるからと希望を失った他人を放置すれば、自分にも累が及ぶかもしれない。当の社会秩序は、みんなが希望を持つことによって確立される。 7月23日のNHKニュースは、約10%の高校生が授業料免除を受けており、首都圏の高校では新入生の半分が学費を払えないために退学するところもあると報じていた。この事実は、2つの意味で衝撃的である。中等、高等教育は自己実現のために不可欠の前提である。高校中退では低賃金の仕事にしかつけない。また、学校こそ若者が人間関係を築く最良の場である。学校

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    kaikai00 2008/08/03
  • 政治大転換の時代と新聞 | YamaguchiJiro.com

    転換期という言葉はいつの時代にも使われてきた。昔の雑誌を読んでいると、今から思えば高度経済成長の黄金時代であった一九六〇年代半ばでも、「転型期」という言葉が盛んに使われていた。現状に満足する人は不確かな未来への不安ゆえに、現状に不満を持つ人はよりよい将来への希望ゆえに、それぞれ変化や転換という言葉で同時代を捉えるのであろう。 とはいえ、今は日政治にとってかつてない当の転換期だと私は考えている。それを一言で表せば、自民党という政党が日を支配することが当たり前であった時代が終わろうとしているということである。福田政権の支持率は二〇%前後を低迷しているが、より重要なのは政党支持率である。今までも一時的に野党の支持率が上昇することはあったが、選挙のない平常時に与野党の支持率が拮抗することはなかった。昨年の参議院選挙以来一年間、自民党と民主党の支持率が一貫して拮抗し、時によっては民主党支持が

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    kaikai00 2008/07/26
  • デモクラシーと差異―――グローバル化時代における民主政治の再定義をめぐって | YamaguchiJiro.com

    1 近代的デモクラシーにおける差異 政治とは、複数の価値観や利害の衝突や葛藤の調整である。言うまでもなく、政治、特に民主政治は人間社会における差異を前提としている。したがって、差異をどのように定義し、その定義に基づいて人間をいかに束ねるか、即ち、ほかとは違う共通点を持った集団の一員として自らを認識させるかは、民主政治の帰趨を左右する重要な争点となる。 差異の準拠枠組みには様々なものがある。言語、宗教、ネーションなどのアイデンティティもその代表例である。ベルギー、オランダ、スイスなどの大陸ヨーロッパ諸国では、依然として政党の基盤をなしている。 近代資主義の発達以降、最も重要な準拠枠となったのは、豊かさのヒエラルヒーであろう。富の有無が、「我々」と「彼ら」を隔てる最もわかりやすい基準となった。社会主義思想が政治的な力を持ったのも,このわかりやすさ故のことであった。また、資主義自体が持続する

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    kaikai00 2008/07/26
  • 政策論議のあり方 | YamaguchiJiro.com

    政局も夏枯れ状態で、話題といえば民主党の代表選挙くらいである。前原誠司前代表のように、代表時代に無能さをさらけ出し、党を存亡の危機に追い込んだ人物を、単に小沢一郎代表に逆らうというだけで持ち上げるメディアにも困ったものである。 それよりも気になるのは、民主党が政権交代に挑む際に必要とされる政策能力という言葉の使われ方である。前原や多くのメディアは、民主党の政策が財源の裏づけを欠いたバラマキであると批判する。また、21世紀臨調などマニフェストの運動を進める人々も、財源の明確化を求めている。確かに、財源の当てもなしに大盤振る舞いを公約するのは無責任であろう。私自身、日でこれから福祉国家を実現するためには、いくつかの分野で国民の負担を増やすことは不可避だと思っている。しかし、野党の政策構想に対して、具体的な財源を明記することを金科玉条のように要求する議論には、違和感を覚える。 そもそもマニフェ

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    kaikai00 2008/07/26
  • 08年3月:教育改革というバカ騒ぎ | YamaguchiJiro.com

    先日新しい学習指導要領が公表され、ゆとり路線からの転換が明らかになった。教育論議の最大の不幸は、事実や根拠に基づく政策論が欠如していることである。その弊害は私のいる大学にも押し寄せている。 この十数年、大学は大学院重視、研究重視、教養教育重視と、いろいろなものを重視させられて、無限の制度いじりを重ねている。重視というのは、他のものを多少後回しにしてもそのことに重点を置くという意味である。だから、あらゆる事を重視せよと言うのは、すべてを軽視することと同じである。 私の大学でも、入試の改革だの学部の再編だのと改革熱は冷めていない。大体、大学改革に血道を上げるのは、研究者として「上がった」人々であり、研究や教育の現場を知らないものである。 文科省の覚えをめでたくするために珍奇な制度いじりを繰り返し、作文ばかりが増える。その種の実務は働き盛りの学者に押しつけられるため、教師として学生に自らの存念を

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    kaikai00 2008/03/06
  • 07年7月:やはり政党再編が必要だ | YamaguchiJiro.com

    加藤紘一氏から、近著『強いリベラル』(文芸春秋)を贈っていただいた。テロに屈しない民主政治家としての筋の通し方といい、新自由主義に対抗するコミュニティ重視の社会経済政策といい、良心の叫びとも言うべきである。こんな政治家が指導者となるような政党があれば、喜んで投票するのにと思ったのは、私一人ではないであろう。 しかし、残念ながら自民党の中では加藤氏は孤立している。小泉政権末期、私が対談した際には、加藤氏は自民党の中の良識派が再び力を取り戻し、党内での擬似政権交代によって政治に正気を取り戻すことができるという展望を示していたように記憶する。しかし、仮に自民党がこの参議院選挙で大敗しても、今の自民党には安倍を引きずりおろして、自民党をまともな方向に戻そうという気概を持った対抗勢力は存在しない。擬似政権交代によって政権の延命を図るという知恵も、今の自民党からは消え失せている。もし、選挙後に安倍が

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    kaikai00 2007/08/01
  • 07年7月:この参院選の新しさ | YamaguchiJiro.com

    いよいよ参議院選挙の投票日である。読者の方々も、この国の将来をしっかりと見据えて、必ず投票に行かれるよう、願っている。選挙戦は昨日で終わっているので、欄でも政党や候補者についての論評は差し控え、今までの選挙戦から見えてきた今回の参議院選挙の特徴について考えてみたい。 今回の選挙は一二年に一回めぐってくる亥年の参院選である。過去の結果を振り返ってみると、亥年の参院選は投票率が低く、それにともなって自民党が苦戦する傾向があった。この「法則」を発見したのは、今は亡き政治ジャーナリストの石川真澄氏であった。関心のある方は、石川氏の著書『戦後政治史』(岩波新書)の巻末に収録されている各選挙のデータを見ていただきたい。 石川氏はその理由を次のように説明していた。亥年の参院選は、四月の統一地方選挙の直後に行われる。自民党の参議院議員は、衆議院議員と比べて自前の後援会組織を十分に作っていない場合が多く、

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    kaikai00 2007/08/01
  • 07年7月:参院選の意義―――シンボルから生活への回帰 | YamaguchiJiro.com

    今回の参院選の総括を書くに当たって、二〇〇五年九月一一日の総選挙の翌日に紙のこの欄に寄稿した文章を読み返し、この二年間の政治の大きな変化を痛感した。あの時私は、小泉自民党が圧勝した郵政選挙の意味について、「多くの人々が生身の人間の営みとしての政治に背を向けたことの現われ」、「面倒見としての政治を否定するという転換」と規定している。実はあのころから、雇用や社会保障に関する不安が高まっていたのだが、そんな話は総選挙の争点にはならなかった。国民は、郵政民営化という自分たちにとっておそらく一文の得にもならない話題に熱狂し、「小さな政府」や「官から民へ」というスローガンに喝采を送った。この点を捉えて、生身の人間の生活や苦労と政治が乖離したという結論に達したのである。 あれから二年近くたって、選挙の情景は一変した。安倍晋三首相は、当初憲法改正や戦後レジームからの脱却を唱えて、この選挙を長期政権の第一

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    kaikai00 2007/08/01
  • 07年7月:参議院選挙の結果をどう見るか | YamaguchiJiro.com

    今回の参議院選挙は、年金に対する危機感の高まりを契機に国民の大きな関心を集めた。結果は、「山が動いた」一九八九年に次ぐ自民党の大敗となった。自民党の敗因を考えると、年金不信や閣僚の失言という急性の要因と、小泉時代以来蓄積してきた慢性の要因とが相乗効果を起こしたように思える。急性の要因だけに目を奪われていては、選挙に表現された民意を読みそこなうことになる。また、急性の要因は、実は慢性的病理の表面的な現われに過ぎないというより深い現実をも直視する必要がある。 年金不信については、国民の申請によって年金を給付してやるという官僚体質こそが根的な原因である。今回安倍政権は、社保庁民営化や国家公務員法改正など大慌てで官僚攻撃の政策を実現したが、自民党が長年官僚と二人三脚で政権を維持してきたことは国民には明らかであった。小泉時代に「官から民へ」というスローガンが自民党の売り物になったが、そこで言う民と

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    kaikai00 2007/08/01
  • 07年7月:参院選と政局の行方 | YamaguchiJiro.com

    参院選の選挙戦が格的に始まるにつれて、争点は年金問題もさることながら、政権のあり方、首相の適格性に移っている。それも当然の話である。安倍政権はあくまで自民党の中で選ばれたに過ぎず、国政選挙の洗礼を今回初めて浴びる。安倍自民党が好むと好まざるとにかかわらず、この参院選は、国民がこの政権に対して最初の評価を下す場となる。また、選挙戦の劣勢を覆すためには、自民党もこの選挙の争点を安倍対小沢の党首対決に持ち込もうとしている観がある。民主党も、この選挙を政権交代への足がかりにしたい以上、党首対決を避けることはできない。 しかし、民主党が世評どおり選挙で勝利を収めても、政権交代への道は簡単には開けない。1989年以来、92年と01年を除いて、自民党は参院選で敗北してきた。特に、89年の社会党(当時)、95年の新進党(当時)、98年の民主党は衝撃的な勝利を収めた。しかし、自民党は首相退陣につながる敗北

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    kaikai00 2007/07/23
  • 07年7月:戦後レジーム――脱却か発展か | YamaguchiJiro.com

    今月の参議院選挙は、まさに戦後政治の分水嶺となる重大な選挙となるに違いない。松岡利勝農水相の自殺や年金管理のずさんさに対する世論の沸騰などでいささか霞んだとはいえ、安倍晋三首相は「戦後レジームからの脱却」を政権の看板政策に据え、自民党は参院選向けの「一五五の重点政策」の冒頭で新憲法制定の推進を謳っている。選挙戦の論争の重点は年金や社会保障に傾くのであろうが、このような争点を掲げて戦った以上、選挙に勝てば改憲が支持されたと主張して、具体的な動きを早めるに違いない。 安倍政権が戦後レジームを選挙の争点に据えることにはそれなりの理由もある。実は、小泉政権の五年間、外交・安全保障についても、国内の社会経済政策についても、戦後政治が築き、定着させてきた大きな枠組みが侵されており、その意味で戦後レジームからの脱却は事実として着々と進行している。したがって、国政選挙の機会に戦後レジームとは何であり、こ

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    kaikai00 2007/07/20
  • 07年7月:言いたい:’07参院選/4 共産党へ=山口二郎さん | YamaguchiJiro.com

    まず、あえて挑発的に言えば「たしかな野党」という共産党の自己規定が間違っていると思います。未来永劫、与党になるつもりはないのかと訊きたい。常に野党で、チェックとブレーキばかりではつまらないでしょう。 あなた方は日政治を変える力を持っているんだよ、と言いたいのです。憲法・平和の問題、経済格差の是正の問題、経済界の言いなりになっている自民党政治に対する批判――具体的な政策では私もかなり一致するわけです。新自由主義と対米従属の政治を転換していくうえで共産党も重要な役割を果たすべきだと思っています。 腹が立ったのは(今年2月、民主など推薦の新人が与党推薦の現職に僅差で敗れた)愛知県知事選ですね。共産党が勝てる見込みのない候補をわざわざ立てて非自民の票を散らしたわけで、私は当時、「政府・与党にはたしかな野党共産党が必要です」と皮肉ったんです。あくまで独自路線にこだわって与党を利するのか、野党とし

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    kaikai00 2007/07/18
  • 07年7月:「戦後レジームからの脱却」のねじれた構図 | YamaguchiJiro.com

    今回の参議院選挙の最大の争点は、年金問題ではなく、安倍政権の存在であるべきだ。年金問題は1つの政策テーマでしかない。安倍政権が統治能力を持っているならば、具体論はどうあれ、年金問題の解決の道筋をつけることはできるであろう。しかし、この政権が統治能力を持っていないならば、政策をいくら議論してもそれを実行できないのであるから、議論は無意味である。 政権の統治能力を測るためには、指導者の思想や理念が最も重要な尺度となる。安倍首相は憲法改正を軸とする「戦後レジームからの脱却」を自らの最大公約として打ち出している。したがって、安倍の言う「戦後レジーム」の意味を吟味することこそ、この選挙の最重要争点ということになる。 折しも、久間章生防衛大臣が、「原爆投下正当化」発言の責任を取って辞職するという事件が起こった。これは単なる大臣の失言ではなく、戦後レジームをめぐって安倍自民党が陥っている深い分裂を物語る

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    kaikai00 2007/07/18
  • 07年7月:安倍政治の本質は何か | YamaguchiJiro.com

    安倍政治は祖父で元首相の岸信介を抜きには語れない。岸は戦争指導者でありA級戦犯であり、改憲に執念を燃やしたリーダーだ。「戦前型レジーム」に復帰させようとして、60年安保という国民的な大騒動が起きた。これは、敗戦を受け入れ新憲法を肯定する革新勢力と、敗戦を屈辱と考え自主憲法制定を主張する右派勢力の激突だった。結果は、安保は国会を通ったものの、岸は国民的な反対にあって退陣を余儀なくされた。 安倍首相は、岸の無念さや怨念を抱えて政治を語っているように私には見える。そうした問題設定自体が的はずれな感じがする。 60年安保が純粋戦後派と戦前復帰派の痛み分けで終わったあと、いま我々が戦後保守政治と呼んでいる体制が確立する。池田首相以降の経済成長優先プラス日型平和国家路線だ。安保条約と自衛隊はあるものの軍事的には突出しない。これが保守流として固まっていった。 戦後の日自民党がつくったものだし、自

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    kaikai00 2007/07/03
  • 07年7月:岸信介のDNAと対決する時 | YamaguchiJiro.com

    参議院選挙前の通常国会としては異例の会期延長が決まり、与野党の攻防が続いている。年金問題に関する世論の沸騰の前に、安倍政権と自民党の周章狼狽ぶりは無様というほかない。国民の怒りを恐れてうろたえているはずだが、民主主義のルールを無視する傲慢さは相変わらずである。国会終盤での強行採決の連発はあまりにも異様である。安倍首相人は、「僕何か悪いことしてる?」とでも言いたいのだろう。安倍をはじめとする与党の政治家に、議会政治とは何かを改めて説かなければならない。 国会が単なる多数決の場に堕するならば、議会政治は消滅する。最終的に多数決で意思決定を行うのは当然である。しかし、国会議員は法案について吟味し、議論するために存在するのである。政府・与党が進める政策についてどこに問題があるかを野党が追及し、国民に十分な情報を提供することは、国会の重要な役割である。重要な法案を衆議院のたった一日の審議で通過させ

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    kaikai00 2007/07/03
  • 07年5月:参議院選挙の争点は何か | YamaguchiJiro.com

    参議院選挙に向けて国会も終盤を迎え、「政界は、一寸先は闇」という言葉を思い出すこの頃である。五月の中頃までは、政権支持率も下げ止まって、野党の側に手詰まり感さえただよっていた。しかし、消えた年金をめぐる世論の沸騰や、松岡利勝農水相の自殺など、政権のイメージを損なう事件が続出して、五月末から六月初頭にかけて、各社の世論調査では支持率は最低を更新する結果となった。参議院選挙の行方は混沌とし、面白くなったとは言えるであろう。 もちろん、年金制度の信頼性が大きな争点となることは不可避であるし、必要であろう。ただし、私は年金騒動を見て、またかという既視感をぬぐえない。三年前の参議院選挙でも年金制度改革の当否をめぐって与党は国民の厳しい批判を浴びて敗北した。しかし、その後、非正規雇用の増加と若年層の年金不信の高まりによって、国民年金の空洞化は進むままである。選挙の時に大騒ぎしても、それが有効な制度改革

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    kaikai00 2007/06/14
  • 07年6月:憲法の争点化は望むところ | YamaguchiJiro.com

    国民投票法が成立し、安倍首相は憲法改正を参議院選挙の争点にすると、妙に力んでいる。自民党内からも憲法の争点化に対する慎重論が聞こえてくるが、安倍首相は自分にとっての年来のテーマである憲法にこだわることが国民の支持を集める秘訣であるとでも思っているのだろう。何をとち狂ったのかといいたくなる。安倍の憲法論の浅薄さを野党がきちんと批判し、明確な対立構図を作ることができれば、国民も安倍流改憲について行くほど愚かではないであろう。 改憲に熱心な読売新聞社は毎年春に国民の憲法意識に関する調査を行っている。今年三月の調査では、憲法改正についての全般的な態度として、改正に賛成する者が46%、反対する者が39%であった。改憲派が多数のように見えるが、昨年の同じ調査に比べると改憲派が9ポイント減り、護憲派が7ポイント増えている。特に9条に限ってみれば、国民は依然として圧倒的に9条を支持していることが分る。9条

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    kaikai00 2007/06/14
  • 07年6月:47年ぶりの安保闘争 | YamaguchiJiro.com

    参議院選挙に向けて国会も終盤を迎え、「政界は、一寸先は闇」という言葉を思い出すこの頃である。五月の中頃までは、政権支持率も下げ止まって、野党の側に手詰まり感さえただよっていた。しかし、消えた年金をめぐる世論の沸騰や、松岡利勝農水省の自殺など、政権のイメージを損なう事件が続出して、五月末から六月初頭にかけて、各社の世論調査では支持率は最低を更新する結果となった。参議院選挙の行方は混沌とし、面白くなったとは言えるであろう。 もちろん、年金制度の信頼性が大きな争点となることは不可避であるし、必要であろう。ただし、私は年金騒動を見て、またかという既視感をぬぐえない。三年前の参議院選挙でも年金制度改革の当否をめぐって与党は国民の厳しい批判を浴びて敗北した。しかし、その後、非正規雇用の増加と若年層の年金不信の高まりによって、国民年金の空洞化は進むままである。選挙の時に大騒ぎしても、それが有効な制度改革

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    kaikai00 2007/06/13
  • 07年6月:講演会「格差社会と教育改革」 | YamaguchiJiro.com

    昨年末の教育法改正以来、教育改革が大きな政治争点となっています。さらに、この通常国会では教育再生関連法案があれよという間に成立する勢いです。確かに、学校で起こる様々な問題は、私たちの心を痛めます。また、格差拡大の傾向の中で、教育の機会均等という重要な価値も脅かされているように思えます。だからこそ、今、政治主導で進められている教育改革によって、当に日教育は再生するのかどうか、あらゆる子どもに平等に学習、発達の機会が保障されるのか、事実に基づいた論理的な思考と、冷静な議論が求められています。 このシンポジウムでは、日社会の格差拡大と教育の関係について、いち早く問題提起をし、現在も教育改革に関して精力的な提言をしている苅谷剛彦さんをお招きして、この問題について考えてみたいと思います。今まさに学んでいる若い人々、日々教育の実践で問題に直面している教師の皆さん、そして子どもの将来に思いを

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    kaikai00 2007/06/09
  • 07年5月:中野重治と戦後民主主義 | YamaguchiJiro.com

    こういう場で話をせよと依頼を受けましたが、当に見当違いのことを申し上げるのではないかと危惧しております。その辺は素人ということに免じてお聞き流しいただきたいと思います。 私にとって中野重治はどういう存在といえば、中野が魯迅について書いた次のエッセイと全く同じだということになります。「ある側面」というエッセイの中で、中野は魯迅について次のように語っています。 私は、学者とか研究者とかいつたものではないから、ただ一人の読者として魯迅を読む。一人の日人として魯迅を読む。また一人の文学を仕事とするものとして魯迅を読む。 読んで何を感じるかといえば、自分もまたいい人間になろう、自分もまたまつすぐな人間になろう(中略)という以上に出て、自分もまた、日の民衆のために応分につくそう、日の労働者と農民とのために働こう、沖縄人をふくめた日民族の独立のために任務を引きうけて奮闘しよう、そのためには、一

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    kaikai00 2007/05/31