杭州で生まれ観光客相手に独学で英語を身につけた少年は、いかにして中国経済を変える存在になったのか。そして改革開放から統制強化へとシフトしつつある中国政府となぜ衝突することになったのか。これまで見てきたように、微妙なバランスで奇跡的な成長を遂げてきたアリババはこの先、どのような運命をたどるのだろうか。 2004年、アリババはオンライン決済手段としてアリペイを実現しようとしたが、どの金融機関からも賛同を得られずプロジェクトは宙に浮いていた。スイスで世界経済フォーラムのダボス会議に出席していたジャック・マー氏は、そこで行われたリーダーの責任を巡る議論に突き動かされ、いてもたってもいられなくなった。アリペイを始めるよう、チームに電話して発したのが冒頭の言葉だ。 結局、誰も牢屋に行くことはなかった。アリペイはその後、QRコード決済などの様々な機能を追加し、中国人の生活を劇的に変え、なくてはならない決