金融政策では設備投資は動かない。動かすのは輸出と住宅である。需要があれば供給を増やすべく設備投資をするという平凡な理屈である。他方、増税で消費を減らせば、消費向けの設備投資が萎むから、全体としては景気が加速せず、デフレが続く。なまじ、金利が投資を調整するという教科書的知識があると、かえって、現実が見えなくなり、リフレで解決といった「宗教」に陥るのである。 ……… 4-6月期GDP1次速報のグラフを素直に眺めると、設備投資の動向が輸出によく似ていることが分かるだろう。そこで、回帰分析という手法を用いて、輸出と住宅で予測値を作ると、ピッタリ重なってくる。専門的には、2010~19年をサンプルに、コクランオーカット法でゼロ切片にすると、重決定R2が0.999くらいになる。要するに、設備投資はほとんど説明できるという意味である。 2013年の黒田日銀の異次元緩和は、円安にして、輸出を増やし、設備投