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ブックマーク / blog.goo.ne.jp/keisai-dousureba (76)

  • デフレのノルムとは何だったのか - 経済を良くするって、どうすれば

    大幅な賃上げは、昨年、突如として始まった。それまで、収益が上がろうと、物価高になろうと、賃上げは鈍かったのに、売上げが伸びたことで実現した。それも、名目だけで、数量では伸びていないにもかかわらずである。正直、驚きだった。売上げが伸びる状況なら、賃上げをしてても労働力を確保して取りに行くのは、経営者としたら当たり前ではあるが、現実を目の当たりにしないと、思い至らなかったわけである。 名目の売上げが増したのは、消費者が値上げを受け入れてくれたからである。消費増税のときのように、名目を伸ばさず数量を減らすことをしなかった。背景には、コロナ禍で温存されていた所得が充てられたことが挙げられる。可処分所得があれば、実質の消費水準を維持しようとするわけである。裏返せば、アベノミクスでデフレ脱却ができなかったのは、可処分所得を政策的に削り続けたからだった。 今年の春闘では、昨年を上回る賃上げが予想されてい

    デフレのノルムとは何だったのか - 経済を良くするって、どうすれば
    kaikaji
    kaikaji 2024/01/30
    "名目の売上げが増したのは、消費者が値上げを受け入れてくれたからである。消費増税のときのように、名目を伸ばさず数量を減らすことをしなかった。背景には、コロナ禍で温存されていた所得が充てられたことが"
  • 7-9月期GDP2次・岸田と池田の違い - 経済を良くするって、どうすれば

    7-9月期GDPの2次速報は、1次と大差なく、実質の前期比が-0.5%から-0.7%へ下方修正されただけであり、名目だと-0.0%と-0.0%の間でわずかに上方修正されている。目立つのは、家計消費(除く帰属家賃)の不振ぶりで、1-3月期に実質で+1.1%だったのに、前期と今期で-0.8%、-0.2%と元に戻ってしまった。ただし、名目では、+2.6%の後、-0.1%、+0.5%の推移なので、印象も違うように思う。 ……… 消費については、10月の統計局CTIが公表され、マクロの実質は前月比+0.1、名目は+0.4だった。10月は商業動態が悪かったが、全体的には、まずまずだったということになる。この5か月ほどの動きを見ると、実質では横ばいの状況なのだが、名目では平均+0.28で着実に積み増している。平たく言えば、国内での売上げが順調に増しているということで、賃金が伸びる下地にもなっている。 1

    7-9月期GDP2次・岸田と池田の違い - 経済を良くするって、どうすれば
    kaikaji
    kaikaji 2023/12/19
    "池田勇人の経済政策の一つの特徴は税の自然増収を予め見込んで施策や減税を打ち、政府が循環を妨げないようにしたことでこれが成長を加速" "岸田首相は減税はするが、いったん堰き止めて自然増収が生じたものを還元"
  • 定額減税と総選挙の看板 - 経済を良くするって、どうすれば

    定額減税が4万円で、5兆円規模とは予想外だった。減税の効果が現れるのは夏くらいになるが、その頃に総選挙なら十分なのだろう。内容はともかく、再分配自体は必要なことで、マクロ運営としても適切だと思う。景気回復時に緊縮をして失速というデフレ期のパターンから脱する形である。「減税」は、やめた時点で一気に5兆円の緊縮になるから、1回限りでは済まず、縮小しつつ着地するプランが必要だ。それは総選挙時の看板施策になる。 ……… 「減税」は、2年分の増収を「還元」するものだという。2022年度の税収増は4.1兆円、2023年度の予想額は3.5兆円で計7.6兆円だから、5兆円はかなりの大きさだ。もっとも、地方税でも、2022年度は1.9兆円、2023年度は2.1兆円で計4兆円ある。加えて、厚生年金が2022年度に0.7兆円、2023年度に1.0兆円で計1.7兆円だ。「還元」すべき増収の対象を拡げると、総計13

    定額減税と総選挙の看板 - 経済を良くするって、どうすれば
    kaikaji
    kaikaji 2023/10/30
    "納税額が4万円以上の者も、源泉徴収者が複数月に渡って徴収しないなどの面倒な事務が発生する。このあたりは、定額を給付する制度的インフラがないから致し方ない。欧米に倣って、恒久的な制度が本当は必要"
  • 少子化も再分配も政治は的を外す - 経済を良くするって、どうすれば

    岸田政権は、防衛増税や少子化対策への保険料上乗せの検討を進めているだけなのに、「増税メガネ」と誹られ、イメージ払拭に焦って、所得減税を打ち出した。物価上昇分にも消費税が乗り、せっかくの賃上げも社会保険料で抜かれるから、特に、若い世代の不満は強い。再分配は喫緊の課題であり、若い低所得層が焦点だが、少子化対策で非正規の育児休業給付を先送りしたように、どうしてこうも肝心なところを外すのかね。 ……… 所得減税は1年限りの定額となるようだ。還元対象の2023年度の所得税収は、23.5兆円程と予想され、予算からは2.5兆円程の上ブレ、前年度決算からは1兆円程の増収であることを踏まえると、納税者数は約5千万人だから、1人当たり2万円で1兆円規模といったところだろう。夏に支給された住民税非課税世帯への給付は3万円だったので、これを上回らない程度と思われる。 所得減税は、低所得者には不利であり、例えば、年

    少子化も再分配も政治は的を外す - 経済を良くするって、どうすれば
    kaikaji
    kaikaji 2023/10/22
    "所得減税は低所得者には不利であり、例えば年収130万円だと所得税は4千円程だから2万円も還元できないという問題がある。これに対し、住民税は1.8万円程、社会保険料は19.5万円程になるので、還元すべきは所得税なのか"
  • 合理性では答は明らかな経済対策 - 経済を良くするって、どうすれば

    賃上げのためには、売上げが伸びていかないといけない。それには、財政が賃金増の上前をはねて消費を鈍らせ、売上げを衰えさせている場合ではない。いまや、補正さえやめれば、財政は「黒字」になるところまで来ており、補正を段階的に減らしつつ、税や社会保険料の増を部分的に還元することが求められている。十年一日、「増収はすべて財政再建に」では拙い状況に変わっているのである。 ……… 8月の毎月勤労統計は、常用雇用が前月比0.0で横ばい、現金給与総額が+0.4だった。実質賃金の低下ばかりが注目されるが、雇用×時間には高まりが見られ、時間当たり給与も減ることなく、雇用×給与も高水準にある。この2か月は雇用が足踏みしたが、人手不足が強く、今後は増加が見込まれるので、それに連れて、総雇用者所得が拡大して、消費も伸長することが期待できる。 8月の統計局CTIは、名目が前月比0.0で、7,8月平均は前期比+0.5とな

    合理性では答は明らかな経済対策 - 経済を良くするって、どうすれば
    kaikaji
    kaikaji 2023/10/12
    "社会保険料の重さに連動して給付するのは「減税」するのと同じであり、しかも、税制改正なしにできる" "1.1兆円で勤労者皆保険が実現でき、年金財政は好転し、就労増加で経済が成長し、税収拡大にもつながるだろう"
  • 「壁」問題と一律賦課の無理さかげん - 経済を良くするって、どうすれば

    「106、130万円の壁」について、社保審年金部会の議論が始まったが、説明資料を眺めると、あまりやる気を感じられないね。浮かんでくるストーリーは、「対象の人は限られるし、損得での誤解もあるし、制度を変えようとすると、公平性などで難しい問題が出てくるから、弥縫策で勘弁してくれ」というところかな。そして、最後に英国の例を出し、「気でやるなら、こうなるが、再分配の強化なんか、政治はできないでしょ」と語っているかのようだ。 ……… 「壁」は、低所得層にも一律に賦課することの無理さかげんの一つの断面である。なにせ、年金や医療等の社会保険料の計31.65%に、消費税が10%課された上に、所得税・住民税が1.5%程かかってくる。低所得で、こんなに取られると、生活は苦しいし、賦課から逃れようとするのも無理はない。こうした一律の重い賦課は、デフレ経済で賃金が上がらない中、引き上げを重ねてきた結果である。

    「壁」問題と一律賦課の無理さかげん - 経済を良くするって、どうすれば
    kaikaji
    kaikaji 2023/09/26
    "面倒なのは、保険料の減額で対処すると、「給付も減らすのか」という厄介な問題が出てくる。最も簡単な回避法は、補助金で対処するもので、いわば、「つなぎ」の暫定策の恒久化"
  • 金利で動かない設備投資を動かすもの - 経済を良くするって、どうすれば

    金融政策では設備投資は動かない。動かすのは輸出と住宅である。需要があれば供給を増やすべく設備投資をするという平凡な理屈である。他方、増税で消費を減らせば、消費向けの設備投資が萎むから、全体としては景気が加速せず、デフレが続く。なまじ、金利が投資を調整するという教科書的知識があると、かえって、現実が見えなくなり、リフレで解決といった「宗教」に陥るのである。 ……… 4-6月期GDP1次速報のグラフを素直に眺めると、設備投資の動向が輸出によく似ていることが分かるだろう。そこで、回帰分析という手法を用いて、輸出と住宅で予測値を作ると、ピッタリ重なってくる。専門的には、2010~19年をサンプルに、コクランオーカット法でゼロ切片にすると、重決定R2が0.999くらいになる。要するに、設備投資はほとんど説明できるという意味である。 2013年の黒田日銀の異次元緩和は、円安にして、輸出を増やし、設備投

    金利で動かない設備投資を動かすもの - 経済を良くするって、どうすれば
    kaikaji
    kaikaji 2023/08/29
    "中国に目を転ずれば、ゼロコロナ解除後も盛り上がらないままであり、輸出や住宅で起動させないと、成長の回復はおぼつかないことになる。それができないと「日本化」だが、先行きは厳しそうだ"
  • 戦う前から負けが決まっているような少子化対策 - 経済を良くするって、どうすれば

    2022年の合計特殊出生率が過去最低の1.26になったことについて、官房長官は、静かなる有事だとしたようだ。有事の割には、勝つ戦略の立案より、財源をどうするかが焦点になっているのは、情けない状況だ。少子化対策において、足りないのは財源ではない、理念の徹底である。勝つために何が最善かを考えるのではなく、財源の枠でやれることを考えてしまう。それでは、戦う前に負けが決まる。どうして、この国は、こうなってしまうのかね。 ……… 面倒くさいので、先に財源を3.9兆円出しておく。少子化なんだから、子供に関する財政負担はどんどん減っていく。12年後には、小中高の人口は270万人減る。1人当たり100万円の学校教育の公費負担があるのだから、2.7兆円の財源が出る。同様に、保育は、74万人減の1人70万円で0.5兆円、児童手当は、297万人減の1人13.2万円で0.4兆円だ。合わせて、3.6兆円で、偶然にも

    戦う前から負けが決まっているような少子化対策 - 経済を良くするって、どうすれば
    kaikaji
    kaikaji 2023/06/07
    "若者の苦境を救いたいのなら、育児休業給付の普遍化や低所得層の社会保険料の軽減を断行すべきだ。本コラムが示したように、0.7兆円と1.1兆円で実現できることだし、財源を社会保険の枠外から投入すれば良い"
  • 成長のための金融と財政の連携 - 経済を良くするって、どうすれば

    10-12月期GDPの1次速報は、実質の前期比が+0.16%で、年率換算が+0.6%の成長だった。水準は、消費税前の2019年7-9月期と比べると、まだ10兆円近いギャップがあるが、名目だと並ぶところまで来ている。雇用者報酬は、名目では前期比+0.8%と順調に増えているので、今後、賃上げを通じて、消費を中心に、どこまでGDPを伸ばしていけるかだ。そうなれば、金融政策でのリフレの手仕舞いも見えてくるというものである。 日経済のGDPの読み方は、実はシンプルで、輸出の増→設備投資増→消費増という流れである。だから、輸出が見通せれば、景気の先行きが分かる。ただし、財政が消費への波及を邪魔しなければである。それゆえ、バラバラな輸出・住宅・公共を合成すると、設備投資にピッタリ重なるし、それに消費の推移が似てくるわけである。先行きは、輸出に陰りが見えるものの、足下の消費は、ここまでの蓄積で増している

    成長のための金融と財政の連携 - 経済を良くするって、どうすれば
    kaikaji
    kaikaji 2023/02/16
    "日本経済のGDPの読み方は、実はシンプルで、輸出の増→設備投資増→消費増という流れである。だから、輸出が見通せれば、景気の先行きが分かる。ただし、財政が消費への波及を邪魔しなければである"
  • キシノミクス・再分配の設計に向けて - 経済を良くするって、どうすれば

    パート主婦の「年収の壁」を取り払うには、コラムが1/1に提案した社会保険料連動型の税還付による勤労者皆保険の実現によるしかない。1.1兆円で「年収の壁」どころか、積年の課題である非正規への差別も解消できるし、年金財政の改善で長期的な財政負担も軽く済むから、これ以上の「賢い支出」なんてない。今度は、正解にたどり着けるかな。目先の緊縮に拘って、経済も社会も財政も悪くするお決まりのパターンになるだろうけど。 ……… 12月の商業動態・小売業は、前月比+1.2となったが、前月のマイナスを埋める程度である。これで10-12月期の前期比は+1.3であるが、CPIの財が+2.2にもなっているため、除すると-0.8に落ちてしまう。それでも、消費は、物価高の割には、がんばっているように見える。統計局CTIマクロは、実質では、消費増税後の水準が天井になっているのに対し、名目では、2019年前半のピーク時を超

    キシノミクス・再分配の設計に向けて - 経済を良くするって、どうすれば
    kaikaji
    kaikaji 2023/02/06
    "資金循環の資金過不足で分かるように、財政の緊縮は着実に進んでいる。物価高を反映し、当然ながら消費税収は12月までの累計の前年同月比が+4.6%にもなっており、国と地方で前年度より1.7兆円程の増収が見込まれる"
  • 緊縮速報・すごい大緊縮、本気でするわけ? - 経済を良くするって、どうすれば

    「中長期の経済財政に関する試算」の2023年冬版が公表された。このままだと、2023年度に一気にGDP比で4.8%もの緊縮になり、翌2024年度も3.0%の緊縮を連発でする姿になっている。こんな大きなデフレ圧力を当にかけたら、経済は壊れてしまう。しかも、当局は税収を低めに見積っているので、緊縮はもっと強まる。急速な財政再建を喜ぶなんてバカげており、安定的な経済運営のため、どれくらい財政を出さなければならないか、まじめに心配しないといけない。 ……… 大幅な緊縮になるのは、経済がコロナで低迷する中でも、税収が大きく伸びてきたからである。2021年度に6.2兆円増えており、2022年度は最大5.7兆円の増が見込まれ、2023年度は更に2.0兆円の見通しだ。この3年で、社会保障費は1.2兆円しか増えていないので、緊急対応のための予備費や補正予算が剥落すれば、12.7兆円もの急速な財政再建になっ

    緊縮速報・すごい大緊縮、本気でするわけ? - 経済を良くするって、どうすれば
    kaikaji
    kaikaji 2023/01/31
    "足下の税収の伸びを踏まえると基礎的財政収支の赤字をなくす財政再建の目標は2024年度には達成され、2025年度には5兆円の過剰達成になる。それなら、5兆円を少子化対策のための一時的ではない財源に使っても構わない"
  • 少子化対策の財源の信の問い方 - 経済を良くするって、どうすれば

    少子化対策は、児童手当の増額が急浮上して、おかしな雲行きとなってきた。少子化対策はメッセージが大切で、「育児休業給付の普遍化で乳幼児期の生活不安は解消される」、「高校までの学校教育費は社会が持つから心配ない」といった具体性がいる。子育ての負担の軽減に児童手当では、メッセージが抽象的で、子供を持って大丈夫かどうか、なかなか認識を変えられない。そして、財源の確保も、難しいものになる。 ……… 日が採るべき戦略は、少子化の緩和に強い効果が期待できる施策に集中するとともに、緩和で生まれる経済的な効果を財源に結びつけることである。そうすれば、負担増なしで、少子化対策を実現できる。例えば、育児休業給付をすべての女性に行うために、「基金」を作り、とりあえず、補正予算から2年分の1.4兆円を繰り入れ、その後は、厚生年金が拠出して賄うことにする。 厚生年金にとっては、収入が減ることで、将来の年金の引き下げ

    少子化対策の財源の信の問い方 - 経済を良くするって、どうすれば
    kaikaji
    kaikaji 2023/01/27
    "児童手当を増額するために2.5兆円が必要となると、大き過ぎて厚生年金から拠出するには、保険料率を上げざるを得なくなる。増額は歓迎されるにしても、保険料アップとセットになると嬉しさも吹き飛ぶのではないか"
  • 財源は子供の減少で出てくる - 経済を良くするって、どうすれば

    11月の人口動態速報の出生は、前年同月比-6.7%と減少幅を拡げる形となり、2022年の合計特殊出生率は、過去最低の1.26人のレベルに至った。1.25人まであとわずかであり、12月の結果次第では、記録更新となる可能性もある。極めて深刻な状況であり、早く少子化対策を打たなければならない。 (図) ……… 「次元の異なる少子化対策」を首相が表明したことで、財源論が喧しくなってきたが、足下までの少子化によって、0~18歳の年少人口が年々減っていくのは確実であり、その分、教育児童手当の予算が少なく済むため、これが財源になる。こうしたことは、あまり知られていないようだ。 例えば、小学生から高校生までの人口は、この3年程は、年々13~14万人減る。1人当たりの教育予算は概ね100万円だから、3年で約4000億円の財源が出てくる。同様に、6年では約1兆円になる。これを、小中学生の給費の無償化とか、

    財源は子供の減少で出てくる - 経済を良くするって、どうすれば
    kaikaji
    kaikaji 2023/01/27
    "聞くべきは、子育ての負担に悩む人ではなく、非正規で結婚が望めない人だ" "たとえ、呼ばれても、辛さを訴えるだけになりそうだ。勤労者皆保険によって非正規の桎梏が破られることは、本人でも分からない"
  • キシノミクス・2023年の経済政策の課題とは - 経済を良くするって、どうすれば

    明けて今年は、黒田日銀総裁の交代が確実視されていて、金融政策の最大の課題は、リフレの後始末ということになろうか。円安が進んだときにやっておけば良かったものを、機を逃してしまったので、苦労するような気がする。そして、財政の最大の課題は、大幅に増えている税収によるデフレ圧力をいかにかわすかという贅沢な悩みになる。課題も悩みも見えてない人が多いだろうが、それがリフレの失敗の原因でもある。 ……… 経済政策に限らず、失敗に学ぶのは大切だ。リフレをやってみて、どれほど大規模に金融緩和をして、投資促進の成長戦略と組合せても、需要管理が疎かでは、経済を満足に成長させられないことは、良く分かったと思う。それが分かっただけでも、大きな成果である。もっとも、経験に学ぶという愚者の成果すら得ていない人も結構いるようなのが、やや残念ではある。 他方、需要管理の使い方は、なかなか難しいというのも大事な教訓だ。米国は

    キシノミクス・2023年の経済政策の課題とは - 経済を良くするって、どうすれば
    kaikaji
    kaikaji 2023/01/08
    "リフレをやってみて、どれほど大規模に金融緩和をして、投資促進の成長戦略と組合せても、需要管理が疎かでは、経済を満足に成長させられないことは良く分かったと思う。それが分かっただけでも、大きな成果"
  • 税収は激増、出生は激減、必要な倍増計画 - 経済を良くするって、どうすれば

    11月の国の税収は、累計の前年同月比が+12.1%と極めて好調である。中間の納税月だった法人税は+31.0%にもなり、所得税は+11.6%、消費税は+6.1%と軒並み高い。11月までの実績に、GDPと企業業績の見通しを組み合わせて予測すると、2022年度の税収は72.8兆円になり、前年度決算から+5.7兆円もの伸びになる。2021年度の前年度比+6.2兆円に続き、アベノミクス期の平均増収幅2兆円の3倍近い異次元の税収増である。岸田政権の税収増の「倍増計画」は大成功を収めている。 岸田首相は、伊勢神宮参拝後の年頭会見で、出生の激減を受け、異次元の少子化対策に挑戦するとしたが、子ども予算の倍増をすれば、黒田日銀総裁が異次元緩和で2倍をキャッチフレーズにしたので、「異次元」になるという意味なのだろう。むろん、「子ども保険」などの負担増とセットになるので、そちらも倍増となる。激増の税収は、すべて財

    税収は激増、出生は激減、必要な倍増計画 - 経済を良くするって、どうすれば
    kaikaji
    kaikaji 2023/01/06
    "日本の少子化対策の欠点は、幼児教育無償化のときに外したように、乳幼児期の負担の重さを分かっていないことである" "約半数の女性の子供が支援を受けていないのであり、乳幼児支援の倍増計画こそが最重要の課題"
  • 少子化がマズいと思うなら、このくらいやろうよ - 経済を良くするって、どうすれば

    ~1.8兆円の再分配による少子化の緩和と非正規の解放~ この世界で生き続けること、その全てを愛せる様に、祝福を君に はじめに 2022年の合計特殊出生率は、過去最低の水準にまで落ち込む。これは、経済的にも、社会的にも危機的な状況だ。子世代が1.67倍もの損な負担を被るどころか、人口が崩壊して社会の維持が困難になる。この国に生まれたこと、この時代で生き続けることが、当に無理なものになっている。だけど、これは運命ではない。少子化の緩和に成功している先進国がある以上、政策的な結果でしかない。受け入れるしかないと思うのは、誰かが描いたイメージや、誰かが選んだステージに、甘んじているだけだ。 日少子化の圧力を跳ね返せなかったのは、若者への経済的な支援が薄かったせいである。いまだ、非正規には、育児休業給付もない。0.7兆円あればできるのに、そうなるのは、「財源がない」とする論理だ。税の自然増収が

    少子化がマズいと思うなら、このくらいやろうよ - 経済を良くするって、どうすれば
    kaikaji
    kaikaji 2023/01/05
    "日本が少子化の圧力を跳ね返せなかったのは、若者への経済的な支援が薄かったせいである。いまだ、非正規には、育児休業給付もない。0.7兆円あればできるのに、そうなるのは、「財源がない」とする論理"
  • 子育て負担の明確化と給付の意味付け - 経済を良くするって、どうすれば

    行動を変えるには、認識を変える必要がある。少子化対策をするのは良いが、戦力の逐次投入をするのではなく、戦略性を持って行うべきだ。例えば、非正規への育児休業給付を実現すれば、出産しても生活費の心配はないという認識が作られ、結婚ができるという行動につながる。対照的に、育児用品に10万円分の支援をするとしても、少しは助かるという意味付けしか与えられなくては、結婚につながらない。 ……… 2022年は少子化が激化し、危機的様相を呈している。正しくは、危機は既に起こっているわけだから、危機に備える防衛問題以上に焦眉の急である。それでも、防衛問題と同様、対応に必要な財源の確保で揉めそうであり、東日大震災のときに、復興の中身より財源の増税で議論が白熱したことが思い起こされる。少子化が緩和すれば、財政的にも投入以上の成果が期待できるという決定的な違いはあるにせよ、意味付けは大事である。 女性への育児休業

    子育て負担の明確化と給付の意味付け - 経済を良くするって、どうすれば
    kaikaji
    kaikaji 2022/12/18
    "非正規への育児休業給付を実現すれば、出産しても生活費の心配はないという認識が作られ" "育児用品に10万円分の支援をするとしても、少しは助かるという意味付けしか与えられなくては結婚につながらない"
  • 経済対策は何をするものなのか - 経済を良くするって、どうすれば

    第2次補正予算が閣議決定された。予備費分を除いた国債の増額は18.1兆円であり、名目GDP比で3.3%にもなるので、全部が直ちに需要に上乗せされたら、日経済が暴走しかねない規模である。しかし、いつものごとく、誰も、そんなことは心配しない。安心できると言うか、甲斐性がないと言うか、効きの悪い経済対策は何のためにしているのかなと、毎度、考えさせられるのである。 ……… 経済対策の効きの悪さは、理由の一つは所得移転の多さだ。電気・ガス、燃料油の値上がり分の一部を補填するのに6.1兆円が充てられる。値上がりで実質所得が削られるのを軽減し、現状の低所得層の消費や高所得層の貯蓄を減らさないようにするだけだから、効いてはいるけど、見えにくい。これが国債増額分の1/3を占めており、需要の上乗せでなく、維持なので、成長が加速されるものではない。 次に目立つのは、投資の促進で、6兆円ある。直近のGDPの民間

    経済対策は何をするものなのか - 経済を良くするって、どうすれば
    kaikaji
    kaikaji 2022/11/15
    "政府経済見通しの7月の年央試算では、2022年度は、民間企業設備は、実質で前年度比+2.2%となっている。これに、今回の経済対策が設備投資にそのまま上乗せになったら、異様な高水準の投資になる"
  • キシノミクス・ど真ん中を外す政策 - 経済を良くするって、どうすれば

    欧米の景気に陰りが出てきた。金融引締めの効果があったのか? いやいや、住宅投資を別とすれば、6か月はあるとされるタイムラグからすると早すぎる。やはり、物価高で購買力が削られたためだろう。むしろ、コロナ禍からの回復局面で、賃金の上昇が伴っていたことが例外的で、それをインフレと見誤り、中立金利を超える無用な金融引締めに慌てて走ったというのが、当のところだろう。 ……… 門間一夫さんの『インフレ対応に見るこの世の不条理』は、またまた面白かったね。財政が需要削減と再分配で対応すべき事柄を、低所得層に犠牲を強いる金融引締めで対応してしまうことの不条理を説いている。学術界の認識と異なり、金融政策の効きの悪さを熟知する者なればこその見識だと思う。それを、政治は、薄々分かっていながら、勝手の良さと責任逃れのために、使ってしまうのだった。 真正面からインフレに対抗するのなら、消費増税においてしくはない。次

    キシノミクス・ど真ん中を外す政策 - 経済を良くするって、どうすれば
    kaikaji
    kaikaji 2022/11/08
    "日本は、米国と違い、低所得層への定額給付の制度がないので、需要削減と並行して行うべき再分配ができない。今回の経済対策、第二次補正予算でも、ど真ん中の政策を打てずに、難渋"
  • 重要だけど道遠い財政のコントロール - 経済を良くするって、どうすれば

    日銀出身の門間一夫さんが『日経済の見えない真実』の終章に「重要性を増す財政の役割」を持ってくるとは、少し意外だった。財務省の領分は犯さないのが日銀の不文律だと思っていたのでね。むろん、門間さんの主張は、必要だし、正しい。マクロ経済を運営するのに、金融政策と需要管理は車の両輪で、独立して行うのは無理があり、日銀が財政に対して主張することは、政策的な意義がある。 ……… 2014年の異次元緩和第2弾は、巷間、消費増税を促すものだと言われた。2%の物価目標を達成したいのであれば、日銀は、消費を弱める増税を諫めるべきだったろう。「財政再建がなされなければ、金利が上昇に向い、金融緩和の効果が失われる」というロジックは、現実味の乏しいものだった。もちろん、財政とは関係なく、日銀がやれることをやるというのも、一つの在り方ではある。 もっとも、財政金融を整合させる以前の問題として、門間さんが提言するとこ

    重要だけど道遠い財政のコントロール - 経済を良くするって、どうすれば
    kaikaji
    kaikaji 2022/10/10
    "消費増税が政治的に刻めなければ、欧米では既に制度化されている定額給付で還元し、デフレ圧力を緩めることもできたはずだ。需要管理を行うのに必要なインフラがないために、調整しようにも手段に困るのが現状"