年末はわりとよく新宿に出かけて写真を撮っていた。このところ郊外をうろついて写真を撮ることが多かったので、その反動かもしれない。空っ風が吹きつける人気のない荒川河岸で腐ったナスビの写真なんかを撮っていると、身も心も寒々としてくる。時には歳末気分でざわめく繁華街の雑踏にまぎれ込みたくもなる。新宿を撮ろうと思った動機はその程度のものである。 そもそも、ぼくは新宿という街にさほど思い入れがあるわけではない。ただ、以前に新宿の近くに住んでいたこともあって、なんだかんだでよく出かける馴染み深い街ではある。数年前にデジタルカメラをはじめて手にした時も、毎日のように新宿に出かけては意味も無くパチパチとスナップ撮影をし、それが写真を始めるきっかけともなった。 そういった意味では、ぼくにとって新宿を撮ることはなつかしい行為だということもできる。思い返せば、20年ほど前の新宿はコマ劇場の前の広場が池になっていて