上田勝彦さんはつねに現場にいます。 あるときは、漁港で活け締め(神経締め)の技術指導を行い、あるときは料理店やスーパーの厨房で魚の扱いを指南し、あるときはYouTubeから家庭に向けて魚料理の仕組みを伝える。 あらゆる現場に足を運び、漁業、水産、魚食に関わるすべての人に向き合い、上田さんは「魚を食べる意味」を伝え続けています。 「自分の肩書がよくわからない」と上田さんは笑いますが、漁師、水産庁の官僚を経て、魚食文化の普及を独自に行う現在に至るまで、魚や魚食という軸を、一切ぶらすことなく活動を続け、関係者から厚い信頼を得ています。 なぜ、漁師でありながら官僚になったのか。なぜ、官僚でありながら、魚の鮮度保持技術である活け締めの技術普及に努め、カニの茹で方を研究したのか。魚とともに歩み続ける、上田さんのこれまでを振り返ってもらいました。 学生であり、漁師。「魚と人の暮らし」に向いた興味 活け締