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「私の1960年代」書評 沈黙を破り東大闘争を回顧|好書好日
私の1960年代 [著]山本義隆 1968年を頂点とする大学闘争とは一体何だったのか。この問いに対... 私の1960年代 [著]山本義隆 1968年を頂点とする大学闘争とは一体何だったのか。この問いに対する十分な答えは、いまだに得られていない。最大の原因は、闘争の中心人物が長らく沈黙を保ってきたことにあろう。 本書は、東大全共闘の代表であった山本義隆が、ついに沈黙を破り、60年安保闘争から69年の逮捕を経て予備校教師となるまでの歩みを振り返ったものである。著者は東大で物理学を専攻して大学院に進んだが、しだいに学問を続けてゆくことに疑問を抱くようになった。その背景には、明治以来の日本の科学技術の歴史に対する批判的な眼差(まなざ)しがあった。科学は価値中立であるどころか、いとも簡単に時々の体制と結託するのであり、その総本山こそ東大にほかならないという深刻な反省が、著者の一貫した行動を支えていたのだ。 しかし著者は、決してエリート主義に陥ってはいない。当時の東大総長の対応を厳しく批判する一方、日大
2015/11/19 リンク