世界中の海洋学者が注目する理由とは? わずか8000年前まで生物の棲めない“死の海”だった日本海。 生命の宝庫へと変貌した背景には、最下層にひそむ、厚さ1000メートルにおよぶ「謎の水」の存在があった。この海特有の海水は、なぜ生まれたのか? そして、環境変化を先取りする「ミニ海洋」の異名をもつこの海に、いま生じつつある大きな異変とは? 「母なる海」が発する警告の謎に迫り、その知られざる姿を解き明かす、海洋科学ミステリー。 プロローグ ぼくたちの住む日本列島と、その北西側に広がる日本海とは、切っても切れない〝強い絆〟で結ばれています。 小松左京による空想科学小説に『日本沈没』(1973年刊行)があります。日本列島周辺の地殻・マントルに大規模な異変が起こり、日本列島がそっくり海に沈んでしまう話です。上・下巻あわせて約400万部という空前のベストセラーとなり、1973年と2006年の二度にわたっ