自然科学研究機構 基礎生物学研究所などの研究グループは7月9日、植物の葉の細胞を単独の発現で幹細胞へ戻せる遺伝子を発見したと発表した。1つの遺伝子発現で分化細胞が幹細胞へ変化することを確認できたのは「全ての生物で初」(同グループ)としている。 幹細胞は、細胞分裂で皮膚や筋肉(動物)、葉や根(植物)などの各生体組織を作る細胞(分化細胞)を作る細胞。動物細胞は基本的に幹細胞から各組織の細胞へ分化する一方だが、植物細胞は分化細胞から幹細胞へ戻る能力を備えている。 遺伝子発現させたら幹細胞に 研究グループは、コケ植物の「ヒメツリガネゴケ」の全遺伝子約3万個の中から、幹細胞化に関わる候補遺伝子15個を絞り込んで機能を調べた。 各候補遺伝子を化学物質の添加で発現するよう調整し、葉が無傷の状態で遺伝子を強制発現させたところ、ある遺伝子の発現だけで葉の細胞が幹細胞へ変化した。研究グループは、この遺伝子を「