現代宇宙論では、現在、宇宙はその誕生から約138億年が経過したと考えられている。ビッグバンで始まった宇宙は超高温・高密度の状態で膨張を続けながら、どんどん冷却されていった。そして約38万年後に「宇宙の晴れ上がり」が起こって光が直進できるようになり、1億年後には重力によって集められたガス雲の中から最初の星が輝きはじめたという──。 そもそも天文学は「本当にただ無目的に星を観測して、宇宙の姿をジーッと見ていたら面白いものが見つかったという、むしろデータサイエンスに近いところから始まっている」と語るのは、東京大学・カブリ数物連携宇宙研究機構の吉田直紀教授。 「たとえば銀河系がどら焼き型だというのは、もう200年以上も前に発見されたのですが、なかなか頭で考えて出て来るような話でもない」 かつてない高解像度のデータが大量に得られるようになった21世紀現在、これらを駆使して、宇宙の始まりはどう解明され