「風呂」は「避難場所」に変わり、「きれい」は「危険」を意味するようになった―。 戦禍のウクライナで、詩人が市民から聞きとった言葉が、今世界に広がっている。 「戦争語彙集」と名付けられた1冊の本。 その英訳をネットで目にした、日本文学研究者のロバート・キャンベルさんは「自分で翻訳して日本へ届けたい」という強い衝動に駆られた。 そして初夏、ウクライナへ向かい、編著者の詩人や証言した市民たちと対話を重ねた。 ロシアによる軍事侵攻から1年半。 キャンベルさんが現地で直面したのは、“戦争によって言葉の意味が変わる”という現実。 そして文学者の使命とは何かという問いだった。 2週間におよぶウクライナへの旅に、私たちは同行した。 (仙台放送局 ディレクター 堀越伶) 今年5月にウクライナで出版された「戦争語彙集」。 すでに10か国語での翻訳が決まるなど、異例の早さで世界に広がっている。 本を開くと、アル