【ブリュッセル八田浩輔】運転開始から30年を超えたベルギーの原発で原子炉に多数のひび割れが見つかり、隣国のドイツ政府などが運転停止を求めている。ベルギー規制当局は「安全性は確保されている」としているが、規制当局は審査などでの独立性が疑問視されており、周辺国の懸念は収まりそうもない。 ドイツのヘンドリクス環境相は4月20日、ベルギー政府に対し、国境に近い南部ティアンジュ原発2号機と北部ドール原発3号機の運転停止と詳細な検査を求めた。2日後にはルクセンブルク政府も同調した。 2基はいずれも1980年代初めに稼働。2012年夏の定期検査で原子炉圧力容器の内側に多数の微細なひび割れが見つかった。ベルギー連邦原子力管理庁は15年2月、ひび割れは2基で計1万6000カ所以上あり、最大で18センチに達していると発表した。炉内で生じた水素が原因とみられるという。