彼は詩人になるため、ボイン河に住まうフィンネーギャスに会いに行った。彼は七年間〈フェックの淀み〉の鮭を見ていた。その鮭を食べるとき、彼はこの世に知らないことが一つもない、との予言があったためである。ある時とうとう鮭が捕まり、デムネは鮭を調理するよう命じられた。彼は鮭を決して口にせぬよう言われ、その通りにしたが、調理の際親指が燃え、とっさに口にくわえてしまった。フィンネーギャスは彼に名前をたずねたが、これからはフィンと名乗るよう言い、鮭は彼のものとなったと告げた。フィンは鮭を食い、そしてこの先彼が親指を口にくわえ、呪文を唱えると、どんなことでもわかるようになった。(「フィンの少年時代の功業」(Macgnímartha Find)、部分要約) 最近この「ケルト人と動物」のシリーズに味を占めました。さて、今回は鮭のお話をしましょう。「ケルト神話」と鮭と聞いて、ピンとくる人はきっといらっしゃるでし