→紀伊國屋書店で購入 「サブカルという枠組みから抜け出すために」 本書を最初に書店で見つけたとき、軽い警戒感を抱いた。あのナンシー関の「評伝」だって?それはちょっとおかしくないか? ナンシー関と言ったら、テレビの表層を読み取ることに長けた批評家として尊敬されてきたはずだ。どんなにうまい役者や歌手だったとしても、どんなに立派な人格の人間だったとしても、テレビはその深みを持った技能や人格を裁断して、薄っぺらな四角形のなかに閉じ込めてしまう。だからナンシー関は、そうしたテレビの向こう側に深みを持った人間の暮らしや人格を読み取るのではなく、テレビの表層自体において彼らがどう生きようとしているかを感じ取ろうとした(そして彼らの顔を消しゴムの表面に彫った)。だから、ナンシー関論を書こうとする者もまた、彼女の仕事の表層にとどまって批評するべきではないのか。私はそう信じてきた。 本書の著者・横田増生も、そ
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