幕末の福井城下を描いた絵図には「忍組」と書かれた区画があり、忍者屋敷があったことを示している=松平文庫(福井県立図書館保管)の「御城下之図」から作成 黒装束姿で高い塀を飛び越え城に忍び込み、手裏剣を放ち、どろんと消える―。小説や漫画で超人的に描かれる忍者について、史実に基づいた研究が全国で進んでいる。福井県内でも県立図書館にある幕末期の史料の調査で、福井藩の忍者の姿が分かってきた。城下町に堂々と住み、名前はいたって平凡。普段は忍術の稽古や、門番や武器の管理といった地味な仕事をこなし、本業の情報収集では張り紙を書き写していた―。担当者の解説を基に、幕末期の忍者を描いてみた。 ■長屋住まいの下級武士 「皆さんが知っているのは作り上げられた忍者の姿」。県立図書館で開かれている企画展「幕末福井藩の忍者」の解説講座で、司書の長野栄俊さん(46)が切り出した。 長野さんの調査によると、福井藩の忍者は「