このころ、みやこの河原には、こんな戯れ歌が流行した。 藁人形はカラスを追い払う。 カラスは雑魚ナメクジより強い。 ゆえに、藁人形は増田(八)兵よりなお強い。 これを藁人形論法と呼ぶ。 だが、ナメクジも数万を集めれば、ギザギザの舌歯によって藁人形を食い尽くしてしまう。 負け続き、不祥事続きの増田家が希望をたくしたのは、この圧倒的な数のパワーであった。なにせ人口だけは有り余っている。 社会全体が不安定な時代だけに職をもとめて都にあがってくる人間も多かった。 そんな連中にも声をかけて増田家があつめた兵力は八万!国力の限界に迫る根こそぎ動員に、他の方面をまったく無視した兵力集中で増田軍は鉄壁で知られる増田家(七)に攻め込んだ。 西の国境を接する増田家(九)は、みやこに関心がなく、北東の増田家は複雑に絡み合った東国の戦いに手を取られている。 その好機をついた侵攻だった。 攻められた増田家には自慢の国