だいたい1月から3月にかけては世間では閑散期と言われているが、じつはいい作品を見るには適している時期である。その理由は、美術館が夏から秋にかけては大量動員を目指した企画を求められがちなのに対して、この時期はそうした期待から自由にそれぞれ独自の企画を立てられるからで、今年も地域の作家を紹介する展覧会や国内作家の個展が集中して見られた。 荻野僚介と町田良夫(「ニュー・ヴィジョン・サイタマ4」埼玉県立近代美術館、2011年1月29日〜3月21日)、プレイと立花文穂(「風穴 もうひとつのコンセプチュアリズム、アジアから」国立国際美術館、2011年3月8日〜6月5日)など眼を惹くものも多かったが、なんと言ってもこの原稿を書いているのはまだ東日本大地震の余震が続くなかであり、なにか取り上げるとすると高山登がコンセプトスペース(群馬県渋川市)で行なった「遊殺-2011」の記憶が、どうしても頭の片隅に強く