コロナ禍を経て日本の鉄道は次のステージに向かおうとしている。今後の鉄道の在り方について、JR東日本の喜勢陽一社長に聞いた。(聞き手=村田晋一郎/中西拓司・編集部) ――JR東日本で、初めて民営化後入社組として4月に社長に就任した。 国鉄時代に採用された方々の大半が3月31日に定年を迎えた。もちろん再雇用で引き続き残って働く方々もいるが、JR採用組が経営の前面に立ち、組織や業務を担っていく時代がやってきたことに感慨を抱いている。国鉄改革は1987年だったが、その最後の節目を迎え、本当の意味での民間会社として新しいスタートを切る。時代が大きく変わるタイミングで、自分が経営のかじ取りをすることになったことを重く受け止めている。 ――コロナ禍からの現在の鉄道事業の回復状況は。 コロナ禍前の2018年度(19年3月期)と比べると、23年度は定期が82・5%、在来線が95・6%、新幹線が89・9%で、