十勝最後の私鉄となった十勝鉄道(帯広市、大和田裕一社長)の鉄道輸送が5月末で終了した。同社は昭和初期には約88キロを運行し、70年から日甜、帯広工業団地内企業の製品、資材の輸送も担った。十勝の産業、生活を支えた十勝鉄道の軌跡をたどる。(眞尾敦、関坂典生が担当します) 十勝晴れの下を走る十勝鉄道の機関車D5606。1977年製造で98〜2010年に活躍した。同機関車の写真はJRのオレンジカードにも採用された(98年撮影。音更・穂積規さん提供) 帯広貨物−日甜専用線 最盛期利用13社、7往復 奇跡の景色 「自動車輸送に切り替わる中、貨物専用線は全国でも珍しくなっている。北海道の開放的な景色の中で、私鉄の貨物輸送が残っていたことは奇跡だ」。営業運転最終日となった5月31日、大阪府から訪れた鉄道ファンのバス運転手小谷岳志さん(39)はこう話した。 道内で専用線が残るのは室蘭市の製油所や苫小