現代では、飛行機で十数時間かかる世界の裏側で起こったことを、ほぼ同時に知ることができる。インターネット上のニュースは爆発的に増加したのに、悲しいことにサイバーウェアは流通していない。人間の脳の処理能力と、その周辺を駆け巡る情報量の差は、一気に広がり始めている。 場所も年齢も人種も選ばない情報の洪水の中、僕らはPCやスマートフォンといった個々人が持つ情報端末で、流れ込む情報を“剪定”しようとする。たとえ同じソースであっても、出どころも語り方も捉え方も異なるのだから。その中から自分にあったスタイルを選び、ほかの誰かに伝えたりもする。 だから同じニュース、同じゲーム、同じ政治、同じ文化の話を見る機会が増えたにも関わらず、誰かと同じ感情を共有することはいまだ難しい。年中無休で24時間動き続ける高度な情報社会によって、むしろその「同じ情報を共有しているはず」というボタンの掛け違いは増加し、SNS上は