短編集『青い絵本』(桜木紫乃・著) ~岐路に立ち、惑う人々に贈る 喪失と再生の記憶~ 絵本にまつわる短編集。セラピスト、作家、イラストレーターなどが主人公で、皆、著者の出身地と同じく北海道に住んでいる。 【目次】 卒婚旅行 なにもない一日 鍵 key いつもどおり 青い絵本 どの話も心にすっとしみ入ってくるようで、静かな余韻の残る話ばかりだった。 またどの作品にも絵本が登場して、それがどれも魅力的であり、読んでみたいと思うものばかり。 それらの絵本を検索してみたら、著者名含め登場する作品は、全て著者が考えた架空の絵本だということが分かってびっくりだった。 (特に心に残った話をいくつか挙げていきます。) 『卒婚旅行』 この話で登場した絵本は、『ほら、みて』(サット・ハミルトン・作)。 開いたページに男の子が一人、湖を眺めている絵があるそう。 「ほら、みて。水がきれいだ。いつの間にかぼくは、こ
