歴史学者は「ポジティブなシナリオ」の危険性を提示する ニコラス・ヴォイシュニック氏(以下、ニコ):では、次のセクションに移ります。私はずっと前から、ユヴァルさんに聞きたいと思っていたことがあります。 スタートアップやテクノロジーの世界にいて、シリコンバレーの創業者たちの「自動化が進めば、創造性や自己実現の新たなルネッサンスの時代になるかもしれない」という話をいつも聞いていました。このビジョンが約束されて売られている方法に、歴史的な類似性を感じますか? ユヴァル・ノア・ハラリ氏(以下、ユヴァル):いつも同じことの繰り返しですよ。誰かがテクノロジーや社会システムなどの新しいアイデアを思いついたら、当然ながら最もポジティブで楽観的な方法で発表するでしょう。しかし、それが裏目に出ることも多いので注意が必要です。 1990年代のインターネット黎明期に掲げられた約束を見てください。「人々は情報を共有し
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